ガスプロムが大幅減収を発表

イゴリ・アゲエンコ/ロシア通信撮影

イゴリ・アゲエンコ/ロシア通信撮影

ロシアの国営天然ガス会社「ガスプロム」は、大幅な減収について発表した。EBITDA(利払・税引・償却前利益)の下げ幅は40%強で、国内、欧州連合(EU)、旧ソ連諸国を含む、すべての買い手に対する売り上げを減らしている。ウクライナとの未解決のガス問題も、ガスプロムの状況に影響を与えている。

 ガスプロムが130日に公表した報告によると、その税引前利益は2014年の最初の9ヶ月間で、1970億ルーブル(現行レートで約18800億円)から、7569億ルーブル(約12942億円)まで減少した。 

 2014年秋以降、対米ドル、対ユーロで50%強のルーブル安となっていることを考えると、実質的なドルの減収ははるかに深刻である。ガスプロムはエネルギー資源輸出企業として、収入の大半を外貨で受け取っているためだ。

 ガスプロムは国内の消費者、またEU諸国、旧ソ連諸国を含む、すべての買い手に対する売り上げを減らした。ヨーロッパの消費者へのガス輸出量は、1268億立方メートルから1225億立方メートルまで減少。旧ソ連諸国では422億立方メートルから367億立方メートルまで、ロシアの消費者への供給量は1708億立方メートルから1579億立方メートルまで減少した。

 

債務の負担

 第3四半期、負債は14%増加したが、ほとんどは短期借入金である。地政学的な不安定さにより、中国向けガスパイプライン「シベリアの力」およびトルコ向けガスパイプライン「トルコ・ストリーム」の建設プロジェクトに必要な長期的な資金調達の可能性を、ガスプロムはほぼ失っている。

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 ロシアの投資会社「UFS」の主任アナリスト、イリヤ・バラキレフ氏はこう話す。「マクロ経済の動向、国内需要の低下、内部関税の凍結、ヨーロッパへの輸出減少、ウクライナへの供給停止と絡み、指標は徐々に悪化している」。ヨーロッパへの供給量が減少したということは、通過ガスに対する支出も減少したことになる。支出によっては、結果はもっと悪くなったかもしれない。

 ロシアの投資会社「フィナム・マネジメント」の上級専門家であるドミトリー・バラノフ氏はこう話す。「一部指標は減少となっているが、昨年の国内と世界の状況を考えれば、すべてが理想的ということはほぼありえなかった」

 「2014年度では恐らく、ルーブル安によってガスプロムは損失を被る。ガスプロムは柔軟性のない価格政策によってヨーロッパ市場でシェアを失い続けている。また原油価格と連結している長期契約の価格下落の懸念もある」とバラキレフ氏。

 

ウクライナとの問題

 ウクライナとの未解決のガス問題も、ガスプロムの状況に影響を与えている。ガスプロムの報告によると、ストックホルム商業会議所仲裁裁判所が同社とウクライナの国営ガス会社「ナフトガス」の反訴の公聴会を始めるのは来年初め以降。つまり、両社は少なくとも、もう一季の暖房シーズンのガス価格について交渉しなければならない。

 ガスプロムはウクライナに対し、45億ドル(約5400億円)の未払いのガス料金の完済を求めている。未払い額の一部はすでに償還済み。ロシア側の情報によると、債務の残りは違約金を含めて、現在244000万ドル(約2928億円)。一方でナフトガスは、2011520日からのガス価格の遡及値引きや過払いの返還を要求している。ナフトガスはさらに、2009年から2013年までの通過不足分に対する補償も要求している。ウクライナ側の要求の合計額は62億ドル(約7440億円)。

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 バラノフ氏によると、両者はあと1年、仲裁裁判所抜きで交渉しなければならず、それはつまり、2016年の供給条件および支払い条件が変わる可能性を意味するという。

 問題は主に政治の舞台で争われているため、当事者が法廷外で問題を解決することが、これまでと同様に望まれている、とバラキレフ氏。「ウクライナにはロシア産ガス以外の現実的な選択肢がないということを、この冬が示した」