ロイター通信
多様化する経済協力
経済産業省通商政策局ロシア・中央アジア・コーカサス室の上野麻子室長は、ロシアが日本の貿易相手国として第14位であるものの、日本が極東にとって中国や韓国と同様の、主要なパートナーであることに触れた。
日本とロシアの2013年の貿易額は過去最高の348億ドル(約3兆4800億円)であった。ロシアからのエネルギー資源の輸入増加によって、輸入額は14.1%増になった。一方で、日本からの中古車の輸出減少によって、輸出額は12.5%減になった。
日本のロシアでの投資総額は昨年末の時点で100億ドル(約1兆円)。そのうち90%は極東への投資である(主にサハリンのエネルギー)。エネルギー、農業、林業、医療、一般廃棄物のリサイクル、情報技術の分野の協力プロジェクトが出現した。ウラジオストクでは、「マツダ・ソレルス」および「ソレルス物産」の自動車組み立て工場が創設された。マガダン州に液体水素製造工場を建設し、日本にそれを輸出するプロジェクトについても、交渉が行われている(水素を燃料とする燃料電池車の生産開始にともなう需要増を受けて)。
「日本とロシア極東には、人口の減少、内部市場の減少、グローバル・トレンドからの遅れ、高い人件費などの共通の問題があるため、共に問題の解決策を模索することが可能。ロシアには豊富な天然資源、土地があり、基礎科学に強い。日本の長所は応用科学、省エネ、また林業、農業、水管理の最新技術」と上野室長。
障壁となっているのは
ロシアでビジネスの障壁となるのは、輸送インフラの不足、税制の不透明さ、通関の難しさ、外国人労働者招待の問題、事業実施条件に関する情報の不足などだという。
極東発展省のマクシム・シェレイキン次官は、極東でこのような問題の多くを発生させないことを約束した。「率先発展領域(TOR)」では、税優遇措置、行政の問題の排除、国の負担で行うインフラ整備、また木材、農業用地、鉱物資源などの天然資源の利用可能性および加工のための好条件などが投資家に提案されている。「TORに関する法律は第2読会を通過し、新年発効する。極東開発基金があり、必要な人材の模索および教育を行う人事機関は創設段階にある。交通および物流、農業、海洋牧場の分野のプロジェクト、また工業団地の創設に関心を持っている。最初の投資家はTORへの入居で最大限に有利な条件を得る。当省はすべての問題を素早く解決していく」
地域全体の長期的発展のために
極東の発展と日本の関与について、専門家はどう見ているのだろうか。ドミトリー・トルファノフ氏は、野村総研および日本経済産業省との共同報告を行い、こう話した。「最近の極東発展への取り組みは、ロシアおよび世界の経済における極東の役割の向上に向けられている。だがすべてのプログラムは個別の計画のセットにすぎない。極東にとって重要なのは25~30年ないしはそれ以上の長期の計画。より見込みがあるのは経済発展の『グリーン』モデル。日本や他のアジア諸国は急成長する過程で、環境問題にぶつかっていた。極東は環境に優しい技術にこだわりながら、経済的に急成長するモデルを実現できる状況にあり、日本にはこの点で支援する用意がある」
日本の経済界は極東でジャパン・デスクを創設したいと考えている。トルファノフ氏によると、「このような機構をアジアに創設し、投資家を増やした実績が多数ある」という。
日本側の考えでは、TORは急速な発展のすべての問題を解決しない。ロシア側は資源採掘が高い技術レベルで行われるべきだと考えているものの、グリーン経済の必要性をそれほど感じていない。極東発展省の課題とは、今後10年で国民総生産(GNP)を2倍にできるよう、極東連邦管区の経済に2兆3000億ルーブル(約5兆7500億円)の投資を呼びこむこと。
「2~3年で2万6000ヘクタールの工業プラットフォームを整備し、投資家に提案する必要がある。その後資源加工の収入を地域の生活水準の向上、教育施設に再投資することができる。そうすると資源集めおよび技術創設の現実的な前提条件ができ、その商業化によって将来、資金を確保することが可能」とシェレイキン次官。
専門家らは、意見交換がとても有益で、「今後の対話を通じて新たな協力のレベルに進めるという希望が生じた」と評価した。
ウラジオストクで12月5日、ロシア連邦経済現代化問題に関する露日諮問評議会の会議が行われる。ロシア側からはアルカディ・ドヴォルコヴィッチ副首相が代表として出席する。
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