ロイター通信
5時間続いた総会で、出席者は世界の原油価格維持について合意できなかった。また、過剰な生産量に対する厳しい管理について、総会後の声明もなかった。総会後、北海ブレント原油は2010年以来の安値となる1バレル72.58ドルで取り引きを終え、ルーブルは対ドル、対ユーロで10%下落した。
ロシアの投資会社「UFS」の主任アナリスト、アレクセイ・コズロフ氏はこう話す。「OPECの減産見送りの決定によって、原油市場の不均衡はそのままになる。シェールオイル増産によって供給が拡大した後、状況は悪化した」
原油価格の下落
ロシア経済・国家行政アカデミー・自然独占経済学院のウラジスラフ・ギニコ教授はこう話す。「原油安が今後も続く可能性はあるが、世界にはこれで得する人がほとんど残っていないことを考慮に入れる必要がある。現在の価格はすでに、アメリカの石油産業で働く人材の将来の不安要素になっている」
コズロフ氏によると、今後の原油価格は需要と供給のバランスに依存するという。このバランスの主な要因とは、シェールオイル増産による高い供給水準、生産原価の高い石油の減少。その結果、原油市場の北海ブレント原油が、1バレル68~75ドルの水準で平衡を保つ可能性があるという。
「OPEC加盟国は公に、または密かに、総会の決定への不満を表明している」とギニコ教授。原油価格の下落は、ベネズエラ、リビア、エクアドル、オマーン、イラン、イラク、アルジェリア、バーレーン、イエメンにとって、かなり厳しいという。「その一部の国同士が、市場での供給量を減らすような、非公式な合意をしようとするかもしれない。そうなるとOPECの代替組織が生じたり、原油価格が高くなったりするような事態を招くかもしれない」
ルーブルにかかる圧力
原油価格によって、ロシアの予算歳入が決まる。「ロシアの国家予算の半分は石油歳入に依存している。原油価格の下落分はルーブル安で補うことができる」とコズロフ氏。これによって原油価格下落時に、ルーブル安という理にかなった市場の反応が起こるという。
「ルーブルは現在、異常に安い。その購買力を見れば、レートがロシアの経済、金融システムの基本パラメータに合っていないことがわかる」とギニコ教授。今年1月から9月までのロシアの連邦予算はGDPの2%のプラス。「産業で成長が見られる。健全な経済状態を示すものとして、国の失業率が5%以下、大都市圏ではわずか数%という世界有数の低水準がある」。公になっていない失業率もあるが、公になっていない就業率で補われるという。また、外国人の流入も好調な経済の証拠。ロシアには公式なデータだけでも1180万人の外国人が暮らしており、その大部分が経済活動を行っている。
ロシアの投資会社「フィナム・マネジメント」の上級専門家であるドミトリー・バラノフ氏は、OPECの決定の影響が早期に弱まり、原油価格が上昇する可能性もあると考える。「ロシア経済は非常に多くの要因に依存しているため、OPECの決定だけにふりまわされるということはない。今回の決定がロシアに大きな影響をおよぼすと考える必要はない」
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