短期国債発行へ回帰するロシア

ラミル・シツディコフ撮影/ロシア通信

ラミル・シツディコフ撮影/ロシア通信

2015年、ロシア財務省は、短期国債の発行へ回帰する可能性がある。短期国債によって同省は、石油価格の下落によって生じうる予算のキャッシュ・ギャップをカヴァーするとしている。とはいえ、ロシア当局は、新生ロシア史上最大の経済危機に直面した1998年に、そうした短期国債を利用しているが…。

 2015年、ロシア財務省は、短期国債の発行へ回帰する可能性があり、外国企業を含む機関投資家や個人が、それらを購入できる。債権によって、国家は、石油価格の下落によって生じうる予算のキャッシュ・ギャップをカヴァーする。タス通信によれば、これについては、タチヤナ・ネステレンコ財務次官が、11月24日、ロシア連邦会議(連邦議会上院)予算委員会の会議で述べたもので、同次官によれば、短期国債は、予算赤字の穴埋めのためにではなく、もっぱらキャッシュ・ギャップをカヴァーするためのリソースを短期間に誘致するツールとして、利用される。

 先に、アントン・シルアノフ財務相は、2015年には国庫の連邦予算口座にデポジット・オークションへ出されうる外貨およびルーブルの自由な残高がなくなる可能性がある、と声明した。

 

金融ツール 

 「投資会社 ルス・インヴェスト」のドミトリイ・ベデンコフ分析課長は、こう述べる。「短期国債は、予算赤字を埋め合わせるためにではなくキャッシュ・ギャップをカヴァーするために使われます。しかも、それらは、年に二、三回、用いられます。そのために、財務省は、連邦予算口座に6000億ルーブルほどをプールしています。もしもこうした発行の目的が遵守されるならば、金融システムの信頼性が揺らぐリスクはありません。しかし、金融部門における状況の潜在的な悪化を念頭におく必要があり、これには、発行プロセスに対するきちんとした管理が求められます。とはいえ、債務を緩和してそれを短期的スパンで割り振る必要がある場合には、短期国債は打ってつけです」

 ロシア国民経済国家公務アカデミーの証券市場・金融エンジニアリング講座主任で元中央銀行第一副総裁のコンスタンチン・コリシチェンコ氏は、こう語る。「金利が上昇して国の通貨が不安定な今日の状況においては、銀行のリファイナンスの際に用いられる基本ツールである国債のプレゼンスの必要性が高まります。市場への短期国債の放出は、財務省には市場で長期的に高額で資金を借りる用意がなく銀行としては流動資産および収益資産を得たいという状況においては、理に適った妥協策といえましょう。その他一連の合理的な決定も、金融市場の状況正常化を促すでしょう」

 

苦い記憶 

 短期国債は、1993年にロシアに登場し、3ヶ月と6ヶ月の償還期間で発行された。その際、この有価証券によって財務省が得た資金は、予算赤字の穴埋めに充てられた。しかし、予算収入は、先行する発行分の償還を保障できず、財務省は、さらに大きな規模で新たな国債を発行することになった。1996年、短期国債市場への外国の投資家の参入が許可されたが、国債の償還によって得られた資金は一年経たなければ国外へ持ち出せないといった一定の制限があった。しかし、そうした制限は、後に撤廃された。1998年までに、短期国債による収益率は、年率140%に達し、短期国債は、ロシアの予算の事実上すべての赤字をカヴァーした。その結果、1998年8月17日、政府は、「テクニカル・デフォルト」を宣言し、それらの債務の支払いを拒否したが、これは、新生ロシア史上最大の経済危機、そして、空前のルーブルのデヴァリュエーション(平価切り下げ)を招き、ルーブルの公式レートは、1998年8月15日には1ドル6,3ルーブルだったのに対し、10月1日にはその2,5倍にあたる15,9ルーブルにまで上昇した。

 コンスタンチン・コリシチェンコ氏は、こう述べる。「1998年にロシアで起こったことは、短期国債のピラミッドあるいは何かほかの経済構造に関する議論よりもかなり複雑なプロセスに思えます。当時の問題には、短期国債の負債ばかりでなく予算や石油価格の下落やルーブルの固定レートその他多くの事柄も絡んでいましたから…」

 その後、国家は、個人と少数のオープンエンド・ファンドにのみ完全に短期国債を償還し、残りは、債権のフェース・ヴァリュー(額面価格)の30%以下しか得られなかった。それにもかかわらず、1998年の危機後、ロシア当局は、短期国債の発行へ回帰し、最近では、2004年2月に短期国債のオークションが実施された。その後、財務省は、石油価格の上昇とも関連した高水準の予算収入のおかげで、国内の借用計画を縮小した。