中国の銀行のロシア進出勢いづく

AP通信撮影

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中国の銀行がロシア市場への参入を強化している。中国の銀行の活動はいまだに、中国とロシアの二国間貿易の支援に限定されているものの、すでに4行がロシアに法人を開設した。

 ロシア市場に4行目となる中国の大手銀行「中国農業銀行」が参入した。ロシア法人の資本金は14億ルーブル(約35億円)。中国農業銀行は1951年に創業し、中国本土、香港、シンガポールなどを拠点に活動している。

 ロシア諸民族友好大学・中国戦略研究センターのアレクセイ・マスロフ所長は、中国の銀行の全世界市場進出戦略を後押ししているのが基盤銀行2行だと話す。この

 2行が最初に新しい国に進出する。うち1行は「中国銀行」。1993年にロシアに進出し、主に輸出入のサービスを行ってきたが、この現地法人には完全な銀行ライセンスがなかった。「残りの活動種にはロシアの『対外経済活動発展銀行(VEB)』が対応していた。

 今は状況が変わり、中国側には融資枠をロシアの銀行やプロジェクトに開設する用意があり、完全な投資家として進出する。このような銀行の活動拡大は、ロシア市場への中国元の展開政策の一つ」

 現在ロシアで活動している銀行には、「中国工商銀行」、「中国建設銀行」もある。どの銀行もロシアにおける中国企業の事業支援に集中している。 

ロシア法人の関係者のコメント

 ロシアの銀行が、中国の銀行との直接的な競争にさらされることはなさそうだ。「中国の銀行には厳密な専門性があり、何よりも市場で自国の部門を構築しようとしている」と、「中国工商銀行モスクワ股份公司」のイーゴリ・チトリン副頭取は話す。

 中国工商銀行の特徴は、同行の専門家がロシア企業の香港証券取引所への参入を支援しているところである。チトリン副頭取によると、銀行分野における両国の近い将来の見通しはとても良いものだという。対ロシア制裁によって国際的な決済が困難になり、いくつかの問題が生じている点も指摘する。中国の銀行には、ロシア国民向けに活動を行う用意もある。「来年から個人向けの金融サービスを行う用意がある」とチトリン副頭取。 

中国とロシアの貿易

イーゴリ・シュワロフ第1副首相は9月、ロシアの金融市場の活動条件自由化の可能性について言及した。特に35年の中国元の融資の可能性が検討されている。 

 ロシアの市場調査サイト「etfunds.ru」のアンドレイ・イワノフ編集長は、中国がロシアとの貿易拡大に関心を持っていると話す。中国の占有率はヨーロッパ、アメリカ、日本にはおよばない。「中国はロシアの資源と軍事技術に関心を持っている。ロシアは中国の工業的な発達、特に高速鉄道の分野に関心を持っている。中国はあっと言う間に高速鉄道を創設した。モスクワ-北京の交通回廊の創設に注目している」。他の協力分野としては、原子力エネルギーに大きな展望がある。 

中国の活動はスムーズにいくか

 ロシアにおける中国銀行の今後について、専門家の意見はわかれる。

 マスロフ所長は、ロシアとアジアの金融部門の発展構造が一部類似しているものの、中国の銀行はロシアでヨーロッパの気質や国の直接的な影響の欠如という問題にぶつかると考える。論文「銀行システムのロシア・モデルと中国モデルの比較分析」の著者であるタチヤナ・スペランスカヤ氏はこう説明している。「中国とロシアの銀行部門は、国が保有する資産の比率の多さという点で似ている。しかしながら、これは融資決定時の国の直接的な干渉を意味しない。ロシアのモデルは、中国に存在する行政化された融資からはほど遠い」

 その際、中国の銀行資本が強力で、障害を恐れないことも考慮に入れる必要がある。「中国の金外貨準備高は世界最大の3820億ドル(約3082000億円)で、収入増のために外国の市場にこれらを投入する用意がある。中国の銀行には長期的な融資の用意もあり、その部門でモノポリーになれるほど」とマスロフ所長。

 ロシアの「法人融資銀行(BKF)」分析部のマクシム・オサドチー部長は、ロシアの銀行部門で東洋への転換が見られるものの、大きくは変わらないと考える。「ヨーロッパはロシアの主要な貿易パートナーとなり続けるし、中国と利益的に近づいていても、文化的な障壁は非常に高い」