制裁下でLCCを“無名”にしたアエロフロート

マクシム・ブリノーフ撮影/ロシア通信

マクシム・ブリノーフ撮影/ロシア通信

アエロフロートは、クリミアへのフライトゆえに制裁の対象となった「ドブロリョート」に代わる新たなブランドを考案しないことを決定した。制裁が解除されないあいだ、新航空会社は、「ローコスト・キャリア(ビュジェートヌイ・ペレヴォーズチク)」という無名ブランドでフライトを行うが、その航空機は、まったくの無印となる可能性もある。

“無印良品” 

 ビジネス紙「ヴェードモスチ」が、社員の話として伝えるところでは、ロシアの大手航空会社「アエロフロート」は、格安航空会社の新ブランドを導入しないことを決定し、LCCは、「ドブロリョート」がEUの制裁下にあるうちは「ローコスト・キャリア(ビュジェートヌイ・ペレヴォーズチク)」と呼ばれる。すでに「ドブロリョート」というネームヴァリューがあるので新ブランドは必要ない、というわけだ。

 2014年7月に「ドブロリョート」がクリミアへのフライトゆえにEUの制裁に晒された後、「ルフトハンザ・テクニック」を含む欧州のカウンターパーティーはこのブランドの航空機に対するメンテナンスができなくなったため、「アエロフロート」は新ブランドを考案する予定だったが、理事会では別の決定が下された。

 「ローコスト・キャリア」は、最小限のプログラムで活動し、アエロフロートからサブリースをした4機のボーイング737-800のみを保有し、航空機の新規購入はしない。機体には、原則としてブランド名が表示されないか、「ローコスト・キャリア(ビュジェートヌイ・ペレヴォーズチク)」と小さく表示されるかする。

 

ユニークなマーケティング

 専門家らによれば、ブランドがなくともLCCのマーケティング活動に影響はなく、「Brand Lab」のアレクサンドル・エリョーメンコ社長は、こう語る。「ローコスト・キャリア(ビュジェートヌイ・ペレヴォーズチク)にとって重要なのはブランドではなくチケットの安さなので、マーケティング活動がそのために支障をきたすことはないでしょう」

 同氏は、LCC市場に競争がないロシアではイメージ広告の必要はなく広告では航空券の価格そのものが前面に押し出される点を指摘し、こう述べる。「2008年の経済危機までロシアにはアヴィア・ノヴァとスカイ・エクスプレスの二つのLCC(後にどちらも廃業)がありましたが、そのときでさえ異なる都市へ飛んでいたので競争はほとんど見られませんでした。法人である『ローコスト・キャリア(ビュジェートヌイ・ペレヴォーズチク)』が『ドブロリョート』というブランド名を利用することも可能です」

 

将来のプラン 

 ドブロリョートが制裁下にあるうちは、航空会社は、外国のカウンターパーティーとの活動においてこのブランドを利用することはできない。新会社は、フライトの開始のために必要な空輸業者認可証を取得する意向をロスアヴィア(連邦航空輸送局)へすでに伝達した。それを取得すれば、「ローコスト・キャリア(ビュジェートヌイ・ペレヴォーズチク)」は、ライセンスを手に入れてチケットの販売を開始することができる。 

 「インヴェストカフェ」のアナリストであるチムール・ニグマトゥーリン氏によれば、アエロフロートは、ドブロリョートに対する制裁は一時的なものであり、追加の広告がなくともオファーそのものがユニークなので同社のサーヴィスに対する需要はかならず生まれる、と見ている。同LCCは、スペインやイスラエルといった外国へのフライトも開始する予定だったが、制裁のために今のところそれらを延期している。

 タス通信は、東欧の或る国のミッションの外交筋の話として、「ウクライナ情勢の推移によっては、10月23と24の両日のEUサミットで、制裁の段階的撤廃の開始に関する問題が取り上げられる可能性がある」と伝えている。