日露フォーラム分科会

アンドレイ・ルダコーフ / ロシア新聞

アンドレイ・ルダコーフ / ロシア新聞

日露フォーラムの分科会は八つのテーマに分かれて興味深い意見が交換された。

極東への視線熱く

 【極東】「ロシアの資源基地の8割が極東地域にある」とレズニク下院議員が切り出した。ウラジオストクと定期航路を持つ鳥取県の平井伸治知事はその近さをてこにシベリア鉄道での貨物輸送の利便性を力説した。篠田昭新潟市長は新潟港を活用しての対露貿易拡大や日露エネルギー供給網の構築での協力の可能性に触れた。川崎重工の三浦良三氏はロシアでの工場建設の可能性に触れ、ロシアの官僚主義と税制の障壁があることを指摘しつつも、液化水素開発など最新技術は双方の関係発展に寄与すると語った。露農業省のシェスタコフ次官は極東の農業分野には大きな展望があり、日本との協力拡大に強い期待を表明した。

フォーラム感想

平井伸治、鳥取県知事 

今 日フォーラムで、経済特区ができて、極東が変わろうとしていることについて、ロシア側から非常に具体的に説明を聞きました。アジアの中の ロシアが日本との関係で成長発展していく道筋が開けてきたと思います。このフォーラムからの期待といえば、交流を疎外している障壁を取り除くことです。政府と民間企業の方々は、ここで協力の機会を作っていければいいなと思います。このフォーラムを通じて、出会いのプ ラットフォームができることを期待しております。

 

ガス協力拡大視野に

 【開発】「ガスは日露の重要な懸け橋」(司会の石川一洋NHK主幹)だけにエネルギー生産国と消費国の協力がテーマになった。ラプヒン元露エネルギー相は「エネルギーでロシアは最大の輸出国、日本は最大の輸入国。相互協力は不可欠だ」と述べた。高橋泰三資源エネルギー庁次長も「ロシアは日本にとり重要なエネルギー供給源であり、その役割は重要だ」と語った。

 シベリア・パイプラインについてロシアガス連盟のチジョフ会長は「中国だけを対象にしたものではない」と、日本を強く意識した発言を行った。

フォーラム感想

石川一洋氏NHK解説委員

ウクライナ情勢、ロシアと西側の対立にかかわらず、日本とロシアの経済協力は発展すると考える。日本政府が発動した制裁は民間セクターにおよんでいない。これを「是非、事業を」という経営者へのメッセージととらえることもできる。この立場を示しているのが日本・ロシアフォーラム。

目黒祐志、三井物産モスクワ有限会社社長 

今欧米諸国とロシアが対話しないのはよくないと思います。話をして、文句があるならそれを言えばいいし、やっぱり対話は大事ですね。

アレクサンドル・パノフ、元駐日ロシア連邦大使 

日本が制裁を発動し両国関係が最良とはいい難い状況の中で、日本の経済界は、既存の関係を維持するため活発に動いています。フォーラムは日本が交流を支持していることを示しました。森元首相と原田大使の演説にも現れていましたね。

 

エキナカを紹介
 【輸送・都市開発】モスクワ州建設大臣のオグロブリナ氏は住宅、職場、休息の場を30分圏内にしたい構想を述べた。JR東日本の深澤祐二副社長は伝統と先進性による「駅を街に」の発想から東京でのエキナカを紹介した。三菱電機理事でロシア支店長の植村憲嗣氏は地下建設技術による高度な都市開発の可能性に触れ、日建建設の中分毅常務は今世界でホットな「TOD」(車に頼らない都市開発)を具体的に説明した。

 

ソチの経験を東京に 

フォーラム感想

鈴木明子、元フィギュアスケート選手

ステージでうまくお話しできなかったので、どれだけお伝えできたか分からないですけれども、こうした素晴らしい機会に一緒に活動することができて、スポーツの力というのを改めて感じましたし、これから日本とロシアがより深く強く絆を結んで協力を続けていけたらいいなと思います。

上村愛子、元スキーモーグル選手 

私はこういうフォーラムに参加するのは初めてですけど、すごく勉強になりました。いつも通訳の方がいてくれたので、柔道、スケートなどでの日本とロシアの交流のことも勉強になりましたし、

自分のスキーの世界でも何かできたらいいなというふうに感じました。

エフゲニー・クルグニヤン 、ショートトラックのロシア代表チーム担当

スポーツは重要なテーマだと思うので、焦点が当たってよかったです。賓客の顔ぶれから、このフォーラムの「格」が分かります。今日、こういう方々の前でお話したときは、ちょっとどきどきしました。ロシースカヤ・ガゼータにはとても感謝しています。露日関係の発展とスポーツの振興に関わることなら、今後もいつでも支持する用意があります。

 

 【スポーツ】ロシア五輪委のジューコフ委員長が「ソチ五輪はボランティア運動を創りだし、五輪にユニークな雰囲気を生み出した」と述べた。五輪を機にソチはバリアフリー都市になった。東京五輪組織委の布村幸彦副事務総長もソチの経験を東京五輪でも生かしたいと応えた。

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ソチに続く東京

 この日の主役、フィギュアスケーターのプルシェンコ氏は母親の病気のため欠席となった。鈴木明子氏は日本でも大人気の彼が日露の懸け橋の役割を果たしていると述べ、自分も「両国の懸け橋になり東京五輪に貢献をしたい」と語った。会場にいた15歳のロシアのホープ、ラジオノワ選手も飛び入りで発言し、日本での3回の競技出場を振り返り「施設も観客もすばらしい。非常に滑りやすかった」と語った。

  モーグルの上村愛子氏はソチ五輪が「選手としてリラックスできて、普通のリズムで生活できた」と述べ、環境面からの行き届いた配慮を高く評価した。NPO活動で柔道教育を通じた国際交流に努めている浅井信行氏は、柔道でライバルのロシアを研究する中で日本はサンボを研究したことを明かした。


文化の発信力 

フォーラム感想

岩田守弘氏、バレエダンサー 

意義のある素晴らしいフォーラムだったと思います。日露関係の良い流れが現れていると思いました。僕は1990年からロシアに住んでいて、この間に日露は近くなってきてうれしいと思うし、民間レベルで友好が進んでいます。文化交流も経済協力も進んでいますね。両国には何か通じるものがあったんですね。

大久保玄才氏着物デザイナ 

18年前にトレチャコフ美術館で私の個展が行われた時のことを今でも覚えている。日露は隣国で共通の自然がある。アムール川で氷が割れ、それが日本側に流れてくる。自然によってつなげられた関係があり、政治、経済分野でも国民が近づく努力を行う必要があると考える。

 

 【文化】ボリショイ劇場のフィーリン芸術監督は文化を含めた日本の魅力は人(日本人)だとして「訪日のたびに日本人の礼儀正しさや時間の正確さに感動した。帰国後に私も実行するが、1週間すると普通のロシア人に戻ってしまう」と語った。

 ボリショイバレエ出身の岩田守弘氏は「バレエが国境をなくしてくれた」と語った。現在はロシアのブリヤート共和国の歌劇場で芸術監督として若いダンサーを指導している。東京おもちゃ美術館の多田千尋館長はこま回しの実演をしながら、日露のおもちゃ交流を呼びかけた。着物作家の大久保玄才氏は「着物のデザインの着想では、ロシアの風景画からもインスピレーションを受けている」と語った。批評家のサラスキナ氏は「日本ほどドストエフスキーが読まれている国はない」と語り、作家のグルホフスキー氏は「三島由紀夫、村上春樹、村上龍などからもロシア人は影響を受けている。今後も日露の文化の相互作用は続く」と述べた。 


科学者の責任

山川宏、京都大学生存圏研究所教師

今回のフォーラムでまた大勢のロシアのパートナーができて本当に嬉しいです。三日間しかいないですけれども、本当に楽しい、すごく濃い充実した時間です。

 【科学技術】宇宙分野での日露協力について山川宏京都大教授はロシアの衛星と日本の地上アンテナを使う実験が行われたことなどを紹介し、火星探査の国際共同プロジェクトに日露が参加していることを指摘した。日本科学協会の大島美恵子会長は「サイエンス・コミュニケーション」の重要性として科学者は一般市民が理解できる言葉で伝える責任があると意見表明した。

 

和食の美しさ

フォーラム感想

服部幸應、服部栄養専門学校校長

今回のフォーラムでは、経済分野での交流を期待しています。このフォーラムでとくに興味あるパネルディスカーションは文化交流と和食です。食を通じて交流ができますから。料理を作れる人は少ないので、ロシアと交流ができて、料理を提供できれば大変ありがたいことですね。 

にしうらみどり 、アマデウスINC社長

とてもいいフォーラムだったと思います。私は「食品」セクションで、和食とお酒についてご紹介しましたが、ロシアの皆さんの関心が高かったので嬉しかったです。

 

 【食と農業】ロシア全土には日本料理店が約1200店もあるという。栄養専門学校の服部幸應校長は和食での雰囲気の大切さに触れて、おいしさや健康に良いだけでなく、美しさも追求していると語り、注目された。

 農水省の長谷部正道大臣官房審議官は日本食の特徴としてヘルシーさとバランスをあげ、さらにお弁当についても説明した。

 露統一穀物会社のメゼンツェフ部長は極東に穀物ターミナルがないことに触れ、基地建設も課題だと語った。

 

医療協力にも可能性

 【医療】ヤコブレワ露保健省次官はがん死亡の増加を食い止め低下させたい、と述べた。厚生労働省の山本要氏は長寿国日本に触れて日露医療協力に前向き姿勢を見せた。小児血液治療の専門医ルミャンツェフ氏もチェルノブイリの経験を福島原発の被害者救済にぜひ役立たせたいと語った。  

フォーラム感想

山田紀子、メディカル・エクセレンス・ジャマン理事 

ロシア側はメヂカルの分野で日本との協力関係を作ることにすごく前向きでいらっしゃったのでとても嬉しかったです。これから一緒にプロジェクトをやっていきたいです。