Shutter Stock/Legion Media撮影
大陸棚での炭化水素掘削の技術が入手可能に
NADLへの出資については、ロスネフチが正式に発表している。ロスネフチがNADLの株式を取得し、NADLがロシアの地上掘削市場に参入することについて、両社は同意した。NADLはそのために、陸上掘削装置約150基を入手する。装置の使用に関する5年契約も結ばれる予定。ロスネフチはNADLの株式30%と、取締役会7席のうちの2席を獲得する。この取り引きの総額は10億ドル(約1000億円)ほどになる。
ロスネフチの広報部はロシアNOWの取材に対し、この取り引きによって必要なプラットフォーム、大陸棚および陸上での調査および掘削の設備を入手できると話した。
ロシアの投資会社「UFS」の主任アナリスト、イリヤ・バラキレフ氏はこう話す。「北極圏大陸棚を中心としたロスネフチの多くのプロジェクトを成功させるために、掘削分野の技術の利用が必要だったことから、ロスネフチは掘削会社にずっと関心を抱いていた。NADLにはこのような掘削の実績がある」。この取り引きの話は対ロシア制裁発動前に協議されていたため、特に制止理由もなかったという。「現在有効となっている制限が、契約後にNADLにどれほど影響するのかもよくわからなかった」とバラキレフ氏。NADLはノルウェーの会社だが、本社はロンドンにある。
機械を調達
アメリカとEUは7月末、深水掘削、北極での採掘、シェールオイル採掘のための設備のロシアへの輸出を制限しながら、石油分野に対して制裁を発動した。
ノルウェーはEUに入っていないため、その影響を受けなかった。ロスネフチがNADLの掘削リグ6機を2022年まで自社のプロジェクトに採用することについて、両社は7月に合意していた。NADLの「ウエスト・アルファ」プラットフォームは8月、ロスネフチとアメリカの石油会社「エクソンモービル」の共同プロジェクトである、カラ海のライセンス区域「東プリノヴォゼメリスキー1」で、掘削を開始した。
NADL(時価総額24億ドル≒2400億円)は、厳しい気候条件下での作業に特化した掘削会社。70.4%の株式をノルウェーの掘削会社「シードリル」が保有している。残りの株式は自由流通。
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