1990年1月31日に初めて、モスクワのプーシキン広場にマクドナルド一号店がオープンし、入り口前に長蛇の列ができた。=ユーリ・アブラモチキン撮影/ロシア通信
当局のイニシアティヴ
7月28日に発表されたロシア連邦動植物衛生監督庁の公式の声明によれば、同庁は、ロシアのマクドナルドへチーズを納入する外国の業者を対象とした抗生物質の含有に関する検査を開始した。対象となっているのはドイツとチェコの業者で、検査には2~3週間かかる。また、ロシア連邦消費者権利擁護・福祉分野監督庁のノヴゴロド州(モスクワから500キロ)管理局の声明によれば、マクドナルドの商品の蛋白質、脂肪、炭水化物の含有量およびバーガーやシェイクの総カロリーに関するデータは実際の値と異なり、野菜サラダからは大腸菌が検出されている、という。
投資会社「ルス・インヴェスト」のアナリスト、セミョーン・ネムツォフ氏は、こう語る。「顧客たちは同社の品質を弁えており同社を信頼しているので、ロシア連邦動植物衛生監督庁がマクドナルドの一部の商品の販売禁止をチラつかせたからといって、同社の看板に大きな傷がつくことはないでしょうが、一時的にロシア国内での売上が減少することは考えられます。同社は、ここ最近、ロシアに限らず世界でもかつての地位を大きく失墜しつつあります」
資産運用会社「フィナム・マネージメント」のアナリスト、マクシム・クリャーギン氏はこう語る。「マクドナルドは、ロシアのファストフード市場の最大のプレーヤーで、概算によれば、部門全体に占める同社のシェアは15%を上回ります。マクドナルドは、ロシア国内に420店舗を展開しており、2013年には店舗数を16%増やしましたが、店舗の総数では、2011年にライバル社のサブウェイに首位を奪われています」
ユニークな歴史
ロシアにおいて、マクドナルドは、長いことファストフード部門の絶対的リーダーの座にあり、ペレストロイカと政治体制交代のシンボルの一つとなった。1988年に、マクドナルドは、ソ連初のファストフード店の開設に関するモスクワ当局との交渉を開始した。投資会社「UFS IC」の主任アナリスト、アレクセイ・コズロフ氏は、「ロシアにおけるマクドナルド現象の要因は、同社がタイムリーに手頃な価格で手つかずのニッチ市場に参入してきた点にあります」と述べ、分析会社「インヴェストカフェ」のロマン・グリンチェンコ氏はこう語る。「マクドナルドの人気の主な理由として、それがロシア初のそうしたプロジェクトとなったことが挙げられます。その際、この国であらゆる外来品の需要が一気に高まったときに同社がロシア市場を急襲したということも、重要な役割を演じました」
アメリカのチェーン店のスタンダードを学ぶために1988年に研修でカナダへ赴いたのが、将来のロシアのマクドナルドの社長であるハムザト・ハズブラトフ氏で、同氏は、1991年にモスクワ中心部のプーシキン広場にあるロシア初のマクドナルドの社長となり、その店舗は、2000年代半ばまで米国外で最も人気のある店舗とみなされ、同社長は、2005年に同社の東欧セクションの責任者に任命される。興味深いのは、ロシアのマクドナルドは、他国とは異なり、2013年までフランチャイズではなくもっぱら法人を通じて発展を遂げた点で、フランチャイズの募集を開始することを決めたのは、2013年11月のことだった。市場関係者は、マクドナルドがサブウェイとの熾烈な競争を勝ち抜くために戦術の変更を余儀なくされた点を指摘している。
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