携帯や自動車に使われるロシア製品

Getty Images/Fotobank撮影

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多くのユーザーは、日本のトヨタ車、三菱車であれアメリカのiPhoneであれ、自分がふだん愛用している製品にロシア製の部品や工作機械が使われているとは思っていない。そんなロシアの知られざる輸出品を四つご紹介しよう。

スマートフォンに使われるロシアのエレメント 

ロシアの輸出の内訳 

2013年、ロシアの輸出総額は5260億ドルだったが、そのうち、エネルギー資源は3710億ドルで、原料以外は1550億ドルだった。 

 とくにiPhoneのユーザーに申し上げれば、この装置がそんなに薄くてコンパクトなのは、ロシアの化学および冶金部門のおかげだ。インフォルムザシータ社の主任プロジェクトエンジニアであるアレクサンドル・ヴォルジンスキー氏によれば、ロシアは、バッテリーを超小型にできる化学エレメントのタンタルを輸出している。

 アップル社は、ロシア企業11社からレアメタルおよび貴金属を購入しており(米証券取引委員会(SEC)に対する同社の報告のデータ)、たとえば、モスクワ特殊合金加工工場を含む八つの金加工工場は、タブレットやテレフォンその他のガジェットの被覆に用いる金を同社に供給している。また、同社は、タングステンや錫をロシアの生産者から購入している。ちなみに、錫は、部品のはんだ付けに使われている。

 ロシアの非鉄金属を利用しているのは、アップル社ばかりでなく、自動車や航空機のシートとその構成部分、充電システムや電子回路などを生産している米国のリアコーポレーション社も、金、錫、タンタル、タングステンを利用しており、GPS製品を供給する米国のガーミン社も、同様のコンポーネントを使用している。

 

航空機の翼に使われるロシア産チタン

  ボーイングとエアバスの両社も、ロシアの金属を消費しており、航空機製造の際にチタンを使用している。チタンは、頑丈で軽量で溶融しにくく腐食や高熱に耐えるユニークな金属で、航空機の部品の製造にもってこいの性質を具えている。飛行機へ搭乗する際に目にするドアやハッチの縁や貨物室の床には、チタンが使われており、タービンの外装や翼の一部や脚部用の部品にも、この金属が用いられている。

 チタンの埋蔵量で、ロシアは、中国に次いで世界第二位。チタンの製品や合金の主要な国内メーカーは、フスムポ・アヴィスマ社で、この企業が、国外の航空会社に製品を輸出している。航空機の製造に必要な部品全体に占めるロシア製品の割合は、欧州のエアバスが60%、米国のボーイングが40%。

 また、カナダのボンバルディア・エアロスペース社も、フスムポ・アヴィスマ社のクライアントだ。

 フスムポ・アヴィスマ社は、現在の契約に基づく供給の量や収益は企業秘密として公表していないが、同社が2009年にエアバス社と40億ドルの契約に調印した後、チタン製品の売上は、同社の報告によれば、2010年の210億ルーブル(約6億300万ドル)から2013年の427億ルーブル(約12億ドル)へとほぼ倍増した。

 

ロシアのプレス機

 フランスや日本の自動車が、利用者におなじみの形状を具えているのは、もう一つのロシアの製品のおかげ。ドア、屋根、ボンネット、トランクなど、すべてこれらは、その種の企業としてはロシアで唯一のチャジメフプレス社が製造した大型機械プレス機によって金属板から型打ちされている。それらのプレス機は、フランスのルノーやプジョー、日本のトヨタや三菱、韓国のサムスン(国内市場向け ― 編集部)、インドのタタの工場など、世界54ヶ国で使用されている。同社によれば、欧州の自動車産業全体をカヴァーする欧州最大の鍛造工場フォルジュ・ド・クセル(フランス)の設備は、すべて同社の製品だ。世界には、自動車のボディーの構成部分の型打ちのために使われる20タイプのプレス機があり、そのうちの10タイプは、ロシア企業によって開発されている。同社の公式の報告によれば、2013年の同社の収益は、総額約1億430万ルーブル(約290万ドル)だったが、輸出量についてのコメントは、差し控えられた。

 

遠い星にもロシアの影 

  グリニッジ王立天文台の望遠鏡で星を愛でる際には、ロシアの腕利きたちなくしては遠い惑星が拝めないことをお忘れなく。イギリスの三つの天体望遠鏡のための直径二メートルのメインの望遠鏡は、ルィトカリノ光学ガラス工場で製造されたものである。そこでは、中国宇宙科学院のための天体望遠鏡一式、ドイツのハイデルブルクのマックス・プランク研究所のためのメインの望遠鏡(直径1,23メートル)、イタリアのナポリにある天文台におけるVST(超大型探査望遠鏡)プロジェクトのための直径2,6メートルの望遠鏡、アテネ国立天文台のための直径2,3メートルの望遠鏡が、これまでに製造されており、同工場は、世界の大型光学機器市場の約30%のシェアを占めている。

 直径の大きなガラスを製造するためには、耐熱性に優れており透明で頑丈で超軽量な(アルミニウムよりも軽い)素材であるガラスセラミックスが使用され、この素材が、望遠鏡の製造を大幅に加速している。

 ガラスセラミックス製造の技術を有しているのは、世界で二社だけで、そのうちの一社は、ロシアの企業である。同工場の代表らは、それに関する公けのコメントを避けた。

 ルィトカリノ光学ガラス工場は、望遠鏡用レンズのほかに、主にロシアのパートナー国で必要とされる装甲車および戦車用の明視および暗視用の機器といった軍用品も生産している。