住友電工・電装の露合弁工場開所

スヴェルドロフスク州政府議長(首相)のデニス・パスレルと住友電気工業の西田光男副社長=ダリア・ケジナ撮影

スヴェルドロフスク州政府議長(首相)のデニス・パスレルと住友電気工業の西田光男副社長=ダリア・ケジナ撮影

ウラル地方の工業都市エカテリンブルク(モスクワの東1600キロメートル)にある、通信機器・電線メーカー「ザヴォド・ラジオアパラトゥルィ」の敷地内で21日、日露合弁企業「ウラル・ワイヤリング・システムズ(UWS)」の開業式が行われた。改築された工場では、「アフトヴァス」の新型車(6月に生産が開始されたダットサンのモデルを含む)向けのワイヤーハーネスが生産される。

日露合弁企業「ウラル・ワイヤリング・システムズ(UWS)」 

 アフトヴァスはロシアおよび東欧最大の乗用車メーカーで、ルノー・日産連合が経営権を握っている。UWSは、「住友電気工業」と「住友電装」が昨年、エカテリンブルグ市の通信機器・電線メーカー「ザヴォド・ラジオアパラトゥルィ」とオランダに設立した、合弁会社「ウラル・ワイヤリング・システムズB.V.」の完全子会社。

 UWSの新工場があるザヴォド・ラジオアパラトゥルィは、ソ連時代から続く会社で、現在はロシアの国営加工・生産・輸出企業「ロステフ」の傘下にある。ウラル・ワイヤリング・システムズB.V.の株式のうち、49%をロシア側が保有、51%を日本側が保有している。

 住友電気工業の西田光男副社長はこう話す。「UWSは当社にとってロシアでの初めての生産拠点。成長を続けるロシアの自動車市場を重視している。ロシアで提携先を探し、ワイヤーハーネスの小規模生産を行っているザヴォド・ラジオアパラトゥルィが、最適な候補の一社であるとの結論に達した。したがって、この工場を拠点とした、今後の業務拡大も計画している。生産の特徴は、完全にオートメーション化されておらず、手作業もあること。当社の課題は高品質製品をつくる人材の育成。今のところ、具体的な数字についてお話しするのは時期尚早ではあるものの、自動車産業は欧米だけでなく、新興国でも成長しているため、生産量を見込める。ワイヤーハーネスは自動車の重要な部品」

 

地元経済活性化に期待大 

 ロステフのアレクサンドル・コチネフ代表によると、具体的な生産量を決めるのはアフトヴァスで、UWSは契約にもとづいて、新型車2種のワイヤーハーネスの需要を完全にまかなうという。アフトヴァスは市場の需要に応じて、5~10万台を生産する予定。新工場には10万セット以上の生産能力がある。

 合弁企業では、ザヴォド・ラジオアパラトゥルィの専門家250人以上が働いているが、今年末までに650人ほどに増える見込み。工場の設立には1000万ドル(約10億円)強投じられている。これは施設の改築と新しい設備の導入の費用。スイス製の最新式生産ラインとなっている。UWSは現在、住友の保証のもと、今後の刷新費用3億ルーブル(約9億円)の融資について、三菱東京UFJ銀行ロシア支店と協議を行っている。

 この世界的な企業との合弁工場は、追加的かつ現代的な雇用の場、地元予算への税収拡大、投資環境の良さの証明といった効果をウラル地方にもたらす。

 スヴェルドロフスク州政府のデニス・パスレル議長はこう話した。「住友、そのパートナーの日産、トヨタ、ルノー、またロシアで2015年以降のモデルを組み立てる他の企業すべてが、ここで生産された製品を得られるように、工場発展のための条件を整備することが当州の課題」

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