アエロフロートに自社LCCの理由

ロシア通信撮影

ロシア通信撮影

新しい格安航空会社(LCC)「ドブロリョート」が6月に就航した。現在の路線はモスクワ-クリミアのみだが、2016年にも国際市場へ進出する予定。これまでのロシアのLCCはすべて破産しているが、今回は国営航空会社がこの業界に参入した。

新しいLCC

 ロシアの国営航空会社「アエロフロート」は昨年10月、独自のLCC「ドブロリョート」を創設することを発表。この時に名称が定められた。だが運航は6月に始まったばかり。初の路線はモスクワ-クリミア。運賃は999ルーブル(約2997円)から3499ルーブル(約1万497円)までと、国の補助を含めた特別な設定になっている。

 ドブロリョート広報課にロシアNOWが取材を行ったところ、モスクワ-ヴォルゴグラード(モスクワ南東970キロメートル)、モスクワ-ペルミ(モスクワ東北東1442キロメートル)の他の2路線が8月に就航するという。運賃は999ルーブル(約2997円)から。航空券代金に含まれているのは10キログラム以下の手荷物1個。他の荷物、また機内食および席の選択などの追加的なサービスは、別料金となる。

 「LCCモデルは最大限のコスト低減にもとづいている。これによって当社は従来の航空会社のエコノミー席と比べて、20~50%安い運賃を提案できる」とドブロリョート広報課。国内線を今年末までに10路線、2018年までに40路線まで増やすという。さらに、2016年からは国際線も就航予定。具体的にどこかという質問には答えなかったが、ロシアの経済紙「ヴェドモスチ」によると、テルアビブ、イスタンブール、バルセロナの名があがっているという。「2018年に向けて40機まで増やし、年間1000万人を輸送する。これによってロシアの航空会社上位10社に入る」とドブロリョート広報課。

 アエロフロートがLCC子会社を創設することは、ヨーロッパの大手航空会社の標準的な発展戦略と一致する。例えば、ドイツの「ルフトハンザ」のLCC子会社「ジャーマンウイングス」は、親会社の支援を受けながら、ヨーロッパのLCC市場のニッチを占有した。スペインの国営「イベリア」も同様の戦略で、LCC「クリックエアー」を設立。2年後にクリックエアーは競合の「ブエリング」と合併し、46%の株式をイベリアが手元に残した。合併によってブエリングは輸送量においてスペイン第2位の航空会社となり、ヨーロッパ各地の150拠点との路線を保有している。

 「世界の実績は、LCCが航空旅客輸送市場でとても人気があることを証明している」とドブロリョート広報課。LCCの旅客流動は、ドブロリョートのデータによると、ヨーロッパで38%、北米で30%、南米で27%、アジアで17%、アフリカで9%で、毎年拡大している。

成功の要因

 ドブロリョートはロシア初のLCCというわけではなく、3社目である。以前創設された他の2社スカイ・エクスプレスとアヴィアノヴァは、2011年に破産した。破産の主な原因は税金や空港への乗り入れ料金などのコストの高さと、LCC向けの法的なメカニズムがなかったこと。特に航空法典は、払い戻し不可航空券の販売を禁止し、機内食を義務づけていた。

 ロシアの投資会社「レギオン」のアナトリー・ホドロフスキー副最高責任者は、最近法の改正が行われたことが、ドブロリョートの潜在的成功の主な要因になると考える。ドブロリョートは追加サービス料を受け取り、コストを削減できるため、LCCのビジネス・モデルを構築することができる。

 事業プロセスを楽観視できるのは、何よりも親会社アエロフロートのおかげだという。「コスト削減の基盤条件は同種の飛行機の新規保有」とホドロフスキー副最高責任者。ドブロリョートは今年末までに、ボーイング737第3世代8機を保有する予定で、購入には親会社の支援があるという。ロシアの通信社「アヴィアポルト」のオレグ・パンテレエフ分析部長は、ドブロリョートの燃料充填もアエロフロート料金で行われると述べている。

 ドブロリョートのコスト削減は親会社の力で可能だが、海外市場への拡大は国の支援次第だ。ホドロフスキー副最高責任者によると、海外への運航のためには、各路線の新たな政府間合意が必要になるという。