日本に海底経由で電力を届ける

サハリン国営地域発電所=写真提供:RAO東エネルギー・システム

サハリン国営地域発電所=写真提供:RAO東エネルギー・システム

ロシアは2018~2020年にも、日本に電力を輸出する可能性がある。プロジェクトの実現可能性調査は、ロシア極東最大手の電力供給会社「RAO東エネルギー・システム」管理のもと、行われる。

 「RAO東エネルギー・システム」は、ロシアの水力発電会社「ルスギドロ」の極東の子会社。「サハリン国営地域発電所2(GRES-2)」第4列の建設プロジェクトの一環として、日本への送電について検討しており、送電案の実現可能性調査契約権の公開競争を発表した。8月4日までに業者の提案内容を精査する。

 同社広報部はロシアNOWの取材に対し、現在すでに実現可能性調査が行われていると話した。「今のところ、当社の専門家のみで行っているが、今後数週間以内に日本とロシアの専門家が加わる予定」。調査完了は11月の見込み。主要な課題は、日本市場の需要の展望、プロジェクトの技術要件、サハリンからの電力輸出の既存および将来の可能性、プロジェクトの経済的要素、日本とロシアの潜在的参加者などの分析。融資の問題も検討される。

 RAO東エネルギー・システムはプロジェクトを複数段階にわけている。第1段階(2020年まで)では、サハリン島電力発展決定案にもとづき、最大500~600メガワットの輸出を保障する。2012年秋に決定された日本のエネルギー戦略により、この電力が特に必要になるのだという。この戦略では、2030年から原子力エネルギーの使用が削減される。

 第2段階では、日本への輸出用として、最大1ギガワットの追加的発電設備をサハリンに建設する。第3段階では、東部統合エネルギーシステムと、主要な孤立網を海底ケーブルでつなぎ、統一構造「ハバロフスク地方-サハリン」を創設する。

 事前予測では、これによって日本に2~4ギガワットを輸出することが可能になる。

 2018~2020年にも、日本市場に初のロシアの電気が届くかもしれない。プロジェクトの総費用は56億ドル(約5600億円)ほど。

 日本にロシアの電力を輸出するという案は、1990年代後半に「RAOロシア統一エネルギー・システム」の幹部が考案した。日本とロシアの電力ブリッジ建設案について初めて話し合いが行われたのは、「アジアのスーパーリング」と名づけられたプロジェクト(1998~2000年)が検討された時。多くの専門家がプロジェクトに懐疑的で、さらに電力改革もあったことから、長い間この案は忘れられていた。

 だがアレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相は2月、電力ブリッジを有望かつ日本とロシアにとって重要なプロジェクトと呼び、日本までの海底送電線敷設に関する協議がすでに行われていると伝えた。ロシアの国営石油会社「ロスネフチ」のイーゴリ・セチン社長も、3月に東京で行われた第6回日露投資フォーラムでこのプロジェクトを支持し、サハリンと日本の間に電力ブリッジを創設することに技術的問題は見いだせないと伝えた。海底ケーブルの敷設は安価な技術であり、サハリンと北海道の距離はわずか40キロメートルであることにも触れた。

 ロシアの外国為替取引会社「アリパリ」の主任アナリストであるアンナ・ボドロワ氏は、「日本への電力販売は有意義なアイデア」と話す。日本の法律で許されるならば、初期にロシアの電力が北海道の市場の8~10%を占めることも可能だという。双方が満足するようであれば、10年以内にシェアは20%まで拡大する可能性もある。「障害となるのは法律。技術的な観点から言えば、電力輸出で問題はないはず。ロシアの電力が輸出された場合、日本の現地の電気代は2~4%低減可能。日本の電力需要はとても高いため、大幅な低減とはならないのでは」

 RAO東エネルギー・システムによると、必要な法律の変更については追加的に話し合われるが、プロジェクトは両国の政府が支持しているため、妥協案を見つけられそうだという。