セルゲイ・ソコロフ撮影
2012年に定められた経済協力プログラムがいかに実施されているか、何が障壁となっているかなどについて、出席者は意見交換した。何よりもロシア極東と北海道の交通が不便であることが問題となっている。日本側が指摘したのは、「通関手続きに時間がかかること」。常設合同委員会支援のもとで実施される「プロジェクト一覧の作成加速化」が、総括の中心項目となった。
北海道がどのような分野で極東と協力する用意があるのかについて、高橋はるみ知事が語った。それは北海道で生産される商品の輸出以外に、「食品生産、農業、医療、観光分野における技術協力」、また「極東の寒冷気候下での快適な生活条件実現、環境保護、リサイクルへの支援」だという。
大規模農業プロジェクトが進展
ここ数年、農業と農工業分野のプロジェクトの作業が、日本側から活発化してきている。サハリンでは北海道食品産業協議会との協定にもとづき、野菜貯蔵庫とジャガイモ貯蔵庫の刷新、ブロイラー工場の創設などが計画されている。
沿海地方では北海道のビジネスマンが、輸出用にタマネギの栽培を始めた。来年は米、大豆、トウモロコシ、カボチャの栽培も加わり、作付面積は約1000ヘクタールになる。
来年は常設合同委員会にアムール州も参加。同州では北海道のビジネスマンが大規模な大豆とソバの栽培プロジェクトを始める。
日本側が特に関心を示したのは、保健分野での協力拡大、医療を目的とした北海道観光の増加だ。ウラジオストク市郊外では1年前、日本とロシアの合弁事業による「北斗画像診断センター」が開設され、すでに3000人以上の患者に対して診察が行われた。センターを完全な診療所にして、2015年にはロシアの義務医療保険システムに加える予定。今のところ、「海外医療観光客」の大半を受け入れているのは韓国。沿海地方からだけでも、韓国に行く人は年間5000人に達する。
潜在的な需要がいろいろ
極東には、「寒冷気候下での快適な生活条件整備支援」に対する需要もある。サハリン州投資・対外関係部のエカチェリーナ・コトワ部長はこう話す。「北海道の寒冷気候条件下の建設技術を適用しながら、サハリンの主要な空港を現代化し、多機能文化センター、診断・リハビリ・センターを建設しようと考えている。住居のガス化と交通の分野の経験も見ならいたい」
常設合同委員会の会議の出席者全員が、交通手段なしに観光や貿易の計画、また商談などを実現するのは難しいことを認めた。より有利な状況にあるのはサハリン。札幌-ユジノ・サハリンスクの飛行機の定期便と、稚内-コルサコフの船の定期便がある。高橋知事は沿海地方のミクルシェフスキー知事との会談の中で、札幌-ウラジオストクの航空便の開設を提案した。
北海道代表団のウラジオストク訪問の最後には、新たな商業的接触を求める33社の日本企業の代表との会合も行われた。食品、農機、中古車、交通および物流分野のサービス、老人ホームの設立、また水産物の加工や住宅建設の共同プロジェクトなど、幅広い提案が行われた。協議はB2B形式で行われたが、常設合同委員会の支援を受けながらの、新たなプロジェクトが生まれる可能性がある。
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