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ロシアNOWが予想していた通り、液化天然ガス開発プロジェクト「ヤマルLNG」は、中国の国家開発銀行から20億ドルの融資を受けて、実現される見通しとなった。この融資は、撤退を決めたアメリカと日本の銀行からの融資の穴を埋める。
やはり中国資本
第18回サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)で、ロシアの天然ガス企業でプロジェクトの筆頭株主(株式の60%)である「ノヴァテック」社の共同所有者であるゲンナジー・ティムチェンコ氏が発表したところによれば、中国が「ヤマルLNG」プロジェクトに20億ドル投資する。
融資は、国家開発銀行から行われ、同行が資金集めをコーディネートする。その結果、総額27億ドルと見積もられるプロジェクトの全額をほぼカバーすることになった。融資には、ガスプロムバンクとVEB(ロシア開発対外経済銀行)も参加しているがその額は不明だ。
また、ティムチェンコ氏によると、「ノヴァテック」社は、プロジェクトの株をさらに9%を売却する交渉を、「インドおよび中国と」行っているという。なお、プロジェクトには「ロシア直接投資基金」も関心を示している。
「ヤマルLNG」は、ロシア北部に、最大で年産1650万トンの液化天然ガス生産工場を建設する。そのベースとなるガス田はユジノ・タムベイ産地。このLNG生産工場は、ロシアでは、サハリン州にガスプロム社が建設したものに続き、二つ目となる。主な買い手は、中国とインドをはじめとする環太平洋地域だ。生産開始は2017年。「ヤマルLNG」の筆頭株主(株式の60%)は「ノヴァテック」で、フランスのトタルと中国のCNPC(中国石油天然気集団)が20%ずつ株式を保有している。
青天の霹靂
これに先立って、トタルのクリストフ・ド・マリゲリ最高経営責任者(CEO)は、対露経済制裁のために、プロジェクトの時期がずれ込む可能性があると警告していた。「これ(対露経済制裁)は、短期的には、融資あるいは何らかの資材の調達の面で、多少我々に影響を及ぼすかもしれない」。マリゲリ氏はこう同社の株主総会で述べている。
同じく対露制裁により、アメリカ輸出入銀行(Export-Import Bank of the United States)が、「ヤマルLNG」への参加を辞退した。さらに、その後明らかになったところでは、2014年4月、日本の三井と三菱は、主なバイヤーと目されていたものの、「ヤマルLNG」への出資(10%マイナス1株)に関する交渉から離脱した。
先に弊紙が予想していたとおり、資金の不足分は、プロジェクトに関心をもっていた中国投資家が穴埋めする展開となった。
捨てる神あれば…
欧米の対露経済制裁を背景に、ロシアのビジネスは中国企業との協力関係を拡大する意向だ。プーチン大統領は、数十人の政財界の要人を引き連れて5月20日~21日に訪中し、CNPCと21日、東部経由の天然ガス供給契約を結んだ。30年供給契約の総額は4000億ドルに上る。
ティムチェンコ氏によれば、この訪中の枠内で、「ヤマルLNG」への融資に関する協定も結ばれたという。またこの際、LNG供給(毎年300万トン)に関する協定もCNPCと締結されている。
*以下の記事を参照。
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