ロシアを経済先進国と認めたアメリカ

2013年のロシアの総輸出額は270億ドルである。=AP通信撮影

2013年のロシアの総輸出額は270億ドルである。=AP通信撮影

米国のバラク・オバマ大統領は、ロシアからの輸入品に対する優遇措置を廃止した。これにより、アメリカ当局は、事実上ロシアを経済先進国と認めたが、実際にはこの決定を制裁の一部とみなすことができる。たとえば、インドやブラジルといったBRICSの他の国には、依然として特恵が適用されている。

非公式の承認 

 2014年5月初め、アメリカ政府は、1990年代から発展途上国向けの一般特恵関税制度(GPS)の国家プログラムの枠内で適用されてきたロシアからの輸入品に対する特恵の廃止を決定した。同プログラムの主な目的は、米国と貧しいパートナー国の貿易の促進であり、ロシアは、経済が成長しはじめた時点で特恵の対象から外されてもおかしくなく、2013年、世界銀行は、国民一人当たりの年間所得が12700ドルにまで上昇したロシアを「ハイレベルの収入をそなえた」国とみなした。

 こうして、アメリカ側は、ロシアには関税を全額支払う能力があると判断し、ホワイトハウスの報道係は、「ロシアは、より発展の後れた国々を想定した特恵的な措置をもはや利用しないために十分なほど経済的に発展している」と声明した。

 

ウクライナ情勢が決定を早める 

 しかし、特恵は、予定より半年早く廃止され、当初、アメリカ政府は、2015年1月にロシアを特恵の対象から外すつもりでいた。米国の国家安全保障会議(NSC)のケイトリン・ヘイデン報道官の声明によれば、決定は制裁とはまったく無関係であるにもかかわらず、ウクライナ情勢が決定採択のプロセスを大幅に加速した。

 特恵制度は、3500品目の輸入品を対象としているが、ロシアは、これまでその十分の一を利用していたにすぎず、冶金工業製品を中心とする350品目のみを米国へ輸出しており、化学物質、鉱物、非貴金属およびレアメタル、ならびに、一部の農産物および海産物が、免税品のリストに含まれていた。新たな関税は、定額と税率からなり、たとえば、一本の青いボールペンの関税は、0,8セントに価格の5,4%が加算された額となる。

 

痛くも痒くもない 

 「インヴェストカフェ」グループのアナリストであるミハイル・クージン氏は、優遇措置の廃止が貿易全体に及ぼす影響は小さいとみなしている。2013年のロシアの対米輸出全体に占める特恵的な輸出の割合は3%強であり、同氏は、「2013年のロシアの総輸出額は270億ドルであり、それが3%減少したところで、痛くも痒くもないでしょう」と述べる。また、金融グループBKSのアナリストであるアントン・シャバーノフ氏は、決定が発効した時点で追加的な関税が導入されるもののロシアから米国へ輸出される商品全体の95%は関税が2~3%の未加工原料である点を指摘し、「2~3%の違いは取るに足らない」と述べる。

 2012年、ロシアは、特恵的なスキームにより総額5億5400万ドルの製品を米国へ輸出し、2013年上半期のその額は、2億9600万ドルであり、この指標で、ロシアは、プログラムの対象国の中で9位を占めた。最大の対象国は、インドとブラジルで、2012年には、それぞれ44億ドルと23億ドルの製品を米国へ輸出しており、この両国には、今も特恵関税が適用されている。また、米国への輸出全体に占める無関税輸出の割合は、ロシアよりも多くの発展途上国のほうが遥かに大きく、インドのそれは11%であり、たとえば、グルジアは、2012年に輸出全体の55%を占める1億2400万ドルの製品を無関税で米国へ輸出している。