在日通商代表部に聞く日露貿易

 「生活の基礎の基礎は農業生産ですが、穀類の価格が高騰しているため、これが畜産にも影響を及ぼしています。中小企業だけでなく、大企業も、石油、ガス、石炭以外に、耕地、水、天然資源を獲得できる者に未来があることを認識しています。そしてそれがロシアにあるのです」とセルゲイ・エゴロフ首席代表が語る。=Alamy/Legion Media撮影

「生活の基礎の基礎は農業生産ですが、穀類の価格が高騰しているため、これが畜産にも影響を及ぼしています。中小企業だけでなく、大企業も、石油、ガス、石炭以外に、耕地、水、天然資源を獲得できる者に未来があることを認識しています。そしてそれがロシアにあるのです」とセルゲイ・エゴロフ首席代表が語る。=Alamy/Legion Media撮影

日本とロシアの貿易の規模が拡大していることは、両国の経済関係が発展していることを如実に示している。在日ロシア通商代表部のセルゲイ・エゴロフ首席代表がロシアNOWのインタビューに応じ、今後の両国のビジネスに立ちはだかる問題や、見込みのある分野について語った。

在日ロシア通商代表部の

セルゲイ・エゴロフ首席代表

-ロシア国内で行われている通商代表部の改革が、在日ロシア通商代表部の活動にどのような影響を与えたのでしょうか。

 プロジェクト活動にさらに重点を置くようになりました。これまでも恒常的に活動は行っていたのですが。プロジェクトの主唱者は日本とロシアの経済界です。二国間貿易が勢い良く拡大しているにもかかわらず、多くの構想は両国のビジネスマンの間に存在する理解不足によって、実現されていません。当代表部はこのような構想が消えることなく、具体的なプロジェクトとして実現するよう努力しております。

 

-ロシアはウクライナ情勢に起因する圧力を欧米から受けており、東洋との貿易関係を強化しようとしています。しかしながら、日本は対ロシア経済制裁に加わりました。つまり日本は、例えば中国のように、受益国にはなれないということになるのでしょうか。

 日本はG8のメンバーですから、共通路線で団結するという一定の原則を守ることは理解できます。ただこれは政治問題です。ビジネスについては、日本企業によってプロジェクト実現のための巨大なポテンシャルがつくられ、そのプロジェクトの多くが「黄金色の成熟」期にあります。日本の経済界がこのような資産を放棄する可能性は低いですし、一定の指標はすでに企業の活動見通しに組み込まれています。日本のビジネスマンは非常に堅実かつ体系的に仕事を行いますから、プレ・プロジェクトの段階であっても、投資済みのプロジェクトをやめたがる人は少ないのです。

 3月19日に日本で行われた日露投資フォーラムは大盛況でした。これまでで最多となる1000人以上が参加し、接触数でも記録を更新していました。署名が行われた協定や契約は12件で、これも記録的な数です。したがって、ビジネスの面では、情勢に左右されない、長期見通しにもとづいた、体系的な作業が続けられるということを実感しています。

 

-それは主に大企業でしょうか、それとも中小企業も含まれるのでしょうか。

 中小企業が占めているのは、どちらかと言えばニッチです。当代表部は大企業も中小企業も支援していますが、主な要素やインフラを構築している大企業の話をいたしました。ところで中小企業は、より政治の影響を受けにくいです。

 

-ロシアの中小企業が興味を示すような、日本とロシアの提携分野とは何でしょうか。

 双方が一致している優先分野というものがあります。両国の実業家には、発展が有望視されている分野を示すようにしています。例えば自動車産業ですね。

 伝統的に大きな貿易分野と言えば、エネルギーなどがあります。しかしながら3月のフォーラムでは、農業にとても注目が集まりました。つい最近まであまり考えられていなかった分野です。

 現在世界、特にアジア太平洋地域では、グローバルな変化が起こっています。生活の基礎の基礎は農業生産ですが、穀類(とうもろこし、まぐさ、大豆)の価格が高騰しているため、これが畜産にも影響を及ぼしています。中小企業だけでなく、大企業も、石油、ガス、石炭以外に、耕地、水、天然資源を獲得できる者に未来があることを認識しています。そしてそれがロシアにあるのです。

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極東で事業展開

 このグローバルかつ困難なプロセスの理解を、農業分野における日本とロシアの現実的な提携拡大に変えることができると考えています。協力の例はすでにあり、アムール州では北海道銀行が積極的に活動しています。ロシアにとって興味深いと思われるのは、日本の温室栽培や温床栽培の最新技術です。太陽光のない条件で完全な水栽培を行えるものですね。既存のプロジェクトによって、すでにハバロフスクなどへの葉物野菜の供給が可能になっています。ロシア極東からの鶏肉や豚肉の輸出もとても有望で、日本との距離の近さから、優れた採算性があります。

 

-今年9月、ロシースカヤ・ガゼータ(ロシア新聞)が参加する第2回日本・ロシアフォーラムが行われます。このイベントの展望をどのように評価しますか。

 初回のフォーラムに参加し、円卓会議であいさつをしました。イベントはとても興味深いもので、多角的かつ多面的だったにもかかわらず、初めてとは思えないほどスムーズでした。政治から文化、経済までの、さまざまな問題が取り上げられました。

 今年秋にはプーチン大統領が来日する可能性があります。日本ではロシアとの協力関係に、そしてロシアでは日本との協力関係に大きな期待が寄せられていますので、中小企業は現在、より活発に活動するようになっています。これは好環境が生まれているということですから、良いことです。このような小さなプロジェクトの融資問題で協力するインフラ整備など、当代表部は活動を続けていきます。今のところは簡単ではありませんが、将来的には非常に重要な分野の大きなポテンシャルが中小企業にひらけてくるでしょう。

 大きなポテンシャルと言えば、エネルギー効率の向上や、医療などの分野のプロジェクトもあてはまります。日本の医療メーカーの関心はとても高いです。また日本の建設会社にも提携の用意があります。

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