沿海地方の漁業集積と石炭

タス通信撮影

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 大統領令によって沿海地方に創設予定の「漁業集積」。コンセプト開発を請け負っている日本の「野村総合研究所」は、スホドル入り江に設置することを地元行政に提案している。このプロジェクトの推定投資額は400億ルーブル(約1200億円)。共同投資元のひとつは、マクシム・ヴォロビヨフ・モスクワ州知事の兄弟とゲンナジー・ティムチェンコ氏の一族が経営に関わっている「ロシアの海・採捕」。ティムチェンコ氏の民間投資グループ「ボルガ・グループ」は、「シベリア企業連合(SDS)・石炭」と協力して、同じ地区に石炭ターミナルを建設しようとしている。

 野村総研が漁業集積のコンセプトを沿海地方の行政にプレゼンテーションする予定であることを、行政の関係筋は明らかにしていた。プーチン大統領は1年前、沿海地方の行政に対し、このプロジェクトを実現するよう命令。行政はこのコンセプト開発コンペで、野村総研を選んでいた。集積創設にかかる費用は400億ルーブルほど。110億ルーブル(約330億円)は連邦予算、260億ルーブル(約780億円)は投資家、30億ルーブル(約90億円)は沿海地方予算でまかなわれる。

 プロジェクトから明らかとなっているのは、野村総研が港、加工、輸出入倉庫のある集積の候補地として、17ヶ所を調査したことである。この結果、ウスリー湾東側のスホドル入り江、それより少し南に位置するピャチ・オホトニコフ入り江、アムール湾西側のスラヴャンカ村付近の3ヶ所を推薦している。沿海地方の行政は昨秋、集積がスラヴャンカ村付近に建設される予定だと発表していた。

 

「ウスリー湾東側のスホドル入り江が最適」 

 野村総研によると、約200ヘクタールの空き地、輸送インフラへの近さ、地形などのすべての点で、スホドルが最適だとしている。ここに設置した場合、投資額も削減可能になるということであるが、その具体的な内容は示されていない。

 節約が可能となるのは、恐らく二次路の建設のことだ。SDS・石炭とボルガ・グループの合弁企業は、スホドル石炭ターミナルの建設の一環として、この部分に30億ルーブル(約90億円)ほどを投じようとしている(石炭ターミナルプロジェクトの総投資額は180億ルーブル≒540億円、建設開始は7月の予定)。ただし野村総研は、漁業集積と石炭ターミナルを混合することは望ましくないとしている。

 SDS・石炭とボルガ・グループに近い関係筋は、湾岸線が長いことから、スホドルで混合することは可能だと話している。沿海地方の行政は、スホドルに漁業集積を誘致しながら、「ロシアの海・採捕」からのこのプロジェクトへの投資を見込んでいるという。「ロシアの海・採捕」は、具体的な投資プロジェクトが発表されたら、集積の投資に加わる可能性もあると話した。だが「ロシアの海・採捕」の株主に近い人物によると、今は加わらない可能性が高いという。というのも、2012年の純損失が8800万ルーブル(約2億6400万円)に達するなど(「スパルク・インテルファクス」データ)、資金状況が必ずしも良好ではないため。

 

沿海地方の漁業関係者らも独自案 

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魚にパスポート

 沿海地方の漁業関係者らも5月中旬、集積の独自の開発案を行政に提示すると、スケトウダラ漁業者協会のゲルマン・ズヴェレフ理事は話す。関係者はウラジオストクの産業ゾーン、鉄道「ウゴリナヤ」駅の周辺地区を提案する予定だという。これらの地区の一部は、大手鉄鋼メーカー「エブラズ・グループ」の共同創設者の1人であるアレクサンドル・カツニン氏などが経営に関わる、「ウラドモルルィブポルト(VMRP)」の保有地である。VMRPは4月26日、沿海地方に投資額70億ルーブル(約210億円)ほどの漁業ハブを創設するという、独自のプロジェクトを発表している。

 

元記事(露語)

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