PhotoXPress撮影
新テクノロジー供給も視野に
ロスアトムの傘下にあるTVEL社のユーリー・オレーニン社長は、同社は中国へ燃料を供給する用意がある、と述べた。同氏によれば、そうした合意は、2013年10月、中国のJNPC(江蘇核エネルギー会社)およびCNEIC(中国核エネルギー産業会社)との中国で唯一のロシア型原発用の燃料の供給に関する契約と同時に達せられた。契約の総額は、10億ドルに達する。
現在、核燃料市場は、原発を建設する国が燃料を供給するという原則に従ってシェアされており、ロシア型原発では、TVEL社製のVVER(ロシア型加圧水型原子炉)の燃料集合体が使用され、欧州諸国は、自国の原発のためにPWR(加圧水型原子炉)の燃料集合体を用いている。
ロスアトムの新テクノロジー「TVS-クワドラート」は、欧州型原発用のものであり、現在、その認可を受ける手続きが進められている。2012年、TVEL社は、スウェーデンの電力会社バッテンファルへのリングハルス-3原発用の「TVS-クワドラート」の試験的供給に関して合意し、フランスの電力会社EDF(フランス電力)との合意を試みた。しかし、今のところ、ロスアトムは、他にどんな市場へPWR(加圧水型原子炉)の燃料集合体を供給する意向であるかを明かにしていない。
原子力も東方シフト
現在、中国は、原子力経済の発展に力を入れており、国内では、総出力15ギガワットを超える18の加圧水型の発電ブロックが稼働しており、さらに27の発電ブロックが建設されつつあり、原発の出力は、27ギガワットを上回りうる。この結果、2030年までに、中国の原発市場は、アメリカの原発市場と肩を並べ、すべての核燃料メーカーにとって魅力的なものとなるが、核燃料の主な供給元であるウェスティングハウス、アレヴァ、TVELとの協力の面で、中国は、燃料集合体の生産のローカリゼーションを試みている。
中国のCSSC(中国核工業集団)が所有する四川省の主要核燃料工場は、2013年に年間800トンのウランの燃料集合体を生産するプランを発表した。また、1998年から、中国の内モンゴル自治区では、アレヴァ社のテクノロジーを用いて年間200トンのウランの燃料集合体が生産されている。こうした観点から、ロシアからの燃料集合体の供給は、革命的に思える。
ロスアトムにとって、中国の市場は、従来のパートナーに取って代わり得る。とりわけ、4月、ウクライナは、ヴィクトル・ヤヌコヴィチ政権の際に停止されたアメリカのウェスティングハウス社とのソ連型原発用の実験用燃料TVS-Wの供給に関する契約を2020年まで延長した。ウクライナ当局の説明によれば、これによってウクライナはロシアへの依存を低減できるという。
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