いすゞがロシアで販売拡大

Photoshot/Vostock-Photo撮影

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日本とロシアの自動車製造合弁会社「ソレルス・いすゞ」は4月初め、ロシアでの本格的な生産開始を発表した。専門家らは、市場の需要が縮小している時期に、強気の計画を立てていると考える。

 ソレルス・いすゞは「本格的な」という言葉を選んだが、完全な現地生産化という意味ではなく、内装の溶接、自動車の組み立ておよび塗装の話である。現在の現地生産化は30%で、フレーム生産実施後の2015年に40%に達する。

 それでも日本とロシアの協力関係の発展には現在、大きな注目が集まっている。ウリヤノフスク自動車工場で4月4日に行われたいすゞ自動車生産開始式には、ドミトリー・メドベージェフ首相が出席。ソレルス社のヴァジム・シュヴェツォフ最高責任者が案内した。最近ここに内装溶接工場が建設されたばかりで、2月初めには塗装ラインが稼働開始した。

 シュヴェツォフ最高責任者によると、工場の増強によって、ロシア市場向けの特別な新型車を開発、生産し、中・小型車部門でのシェアを高めることができるという。

 ロシアでは現在、積載量1.5~6.5トンの中・小型トラック「エルフ」シリーズ5種が生産されている。このトラックの潜在的用途はかなり幅広い。汎用フレームによって、開放型荷台つきやバンからタンクローリーやゴミ収集車まで、さまざまな構造の設定が可能となる。今年は積載量8~12.5トンのトラック2種類(「フォワード」シリーズ)が生産される予定だ。総生産台数はエルフシリーズ2340台と、フォワードシリーズ204台の、合わせて2544台の予定。生産能力は当面年間5000台。

 

「理想的なコンビ」 

 いすゞトラックは今のところ、ロシア市場を大きく占有してはいない。ロシアの大手調査会社「自動車統計」の上級アナリストであるアザト・チメルハノフ氏によると、1.5%以下だという。ロシアNOWのインタビューの中で氏は、いすゞが合弁会社の生産能力の限界にすぐに達することは難しいとの考えを示した。ロシア市場全体が落ち込んでいるためだ。「ロシア市場で上位10位以内に入り、ロシアに生産拠点を保有しているマン、スカニア、ボルボ、ヒュンダイ、メルセデス・ベンツなどの外国のメーカーと、いすゞが近い将来競争するのは難しいだろう。これらのメーカーのロシアでの販売台数は、いすゞトラックの台数をはるかに上回っている」

 ロシアの運送会社「ソフトランスアフトエクスペディツィヤ」のレオニド・シュリャプニコフ最高責任者は、いすゞがLCV(小型商用車)トラック部門で技術をしっかりアピールしたと話す。昨年は輸送量の低下によって縮小が見られたものの、ロシアではこの部門が以前から大きい。「いすゞの重要な優位性とは、そのコンセプトの通り、シャシと上部構造がひとつになった際の柔軟性。ひんぱんに個別のサイズやパラメータの設定をしなければいけない運送業者にとって、これは快適。質の高い日本の充填物と、安いロシアの設定の組み合わせは、ほぼ理想的だ」

 シュリャプニコフ最高責任者は、いすゞがマーケティング、インフラ、技術サポートに投資を行い、手頃な価格方針を維持すれば、今後2~3年でロシア市場の当該部門のシェアを5~10%まで拡大することができるだろうと、楽観的な見方をしている。

 

LCV市場は縮小傾向 

 ロシアのLCV市場は昨年、3.4%縮小した。販売台数は18万台弱。縮小の主な原因は、経済成長率の鈍化による運送市場の縮小。今年も大きな成長は期待されていない。これ以外にもロシア・ルーブルの引き下げによって、多くの中小運送会社が中古トラックを積極的に購入したことから、購買力平価が低下したことも原因である。成長を高めるような新たな大輸送プロジェクトは市場にない。

 ロシアの投資分析会社「インヴェストカフェ」のアナリストであるイーゴリ・アルナウトフ氏によると、ロシア市場におけるいすゞの主な競合品は、ロシアの自動車メーカー「GAZ」の比較的安い製品になるという。GAZのLCV市場のシェアは47.5%。また、韓国のヒュンダイ・ポーター、イタリアのフィアット・デュカートも競合車になる。

 いすゞはソレルスの唯一のパートナーというわけではない。ソレルスの工場では、ロシアのUAZや韓国のサンヨンの自動車も生産されている。また、三井物産やマツダとの合弁会社や、合弁会社「フォード・ソレルス」もロシアで活動している。