豪州産牛肉の輸入を一時的に制限

Fotomedia撮影

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ロシアは、豪州産牛肉の輸入を一時的に制限する措置を導入した。専門家らは、これによって、ロシアでの日本産霜降り肉の販売量が増し、国内での霜降り肉の生産が促される、とみている。

  4月7日から、ロシア農業監督庁は、オーストラリア産の肉の輸入を完全に禁止する措置を導入した。同庁の公式の声明によれば、この決定は、関税同盟加盟国内で使用が禁止されている成長ホルモンであるトレンボロンが豪州産の肉から再三検出されたのちに採られたが、禁止のタイミングは、オーストラリアがクリミアをめぐる状況に起因する対ロシア制裁に加わったのと一致している。

 「United Trader」のミハイル・クルィロフ氏は、ロシア市場における豪州産牛肉のシェアは全体の約5%と比較的小さいとしている。しかし、それは、肉料理店のセグメントにとってたいへん重要であり、肉料理メニューの王様とも呼べるほどで、肉料理レストランチェーン「Torro Grill」の管理パートナーであるキリル・マルトィネンコ氏によれば、その割合はおよそ70%という。

 

禁輸で打撃を蒙るレストラン 

オーストラリア産牛肉の輸入量

2013年のオーストラリア産牛肉のロシアへの輸出量は27446トンで、冷蔵牛肉の輸出量は2711トンと記録的水準に達した。

 豪州産の肉の輸入禁止に関する決定が発表されると、ロシアのレストラン経営者たちは、パニックに陥った。レストラン「ジュ・ジュ」のシェフ、アレクセイ・カネフスキーさんは、こう語る。「オージービーフは良質な牛肉でレストランの主力商品ですから、輸入が禁止されるのは大打撃ですね。いい霜降り牛肉を生産している国が限られているだけに、なおさらです」。カネフスキーさんによれば、アメリカ産牛肉の輸入禁止(昨年、ラクトパミンが検出されたために導入された)ののちにすでに大きな問題が生じ、オーストラリア産とアルゼンチン産がその唯一の代替品となっていた。「ロシア産の牛肉は、質量ともに要求基準(レストランにおける)を満たしていません」とカネフスキーさん。

 しかし、レストラン経営者たちには、少なくとも禁輸への対策を考える時間はあり、彼らは、正式に禁止される少し前に肉の生産者と加工業者を対象としてロシア農業監督庁が組織した特別会議において、制限が導入されうることを知った。現在、レストラン経営者たちは、それに代わるものを探したり、メニューや調理法を変えたりしている。しばらくはストックでしのげるかもしれないが、せいぜい二、三ヶ月といったところだろう。

 

神戸牛の出番?

 今年初めからロシア農業監督庁がオーストリアのライバルである、神戸牛で知られる日本の霜降り牛肉の生産者にロシア市場を開放したことは、肉料理レストランのビジネスにとって明るい材料と言えよう。しかし、日本の肉は高価なため、欧州(たとえば、イタリア)やラテンアメリカからの輸入品へ切り替えるところもあろう。

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神戸牛がロシアへ

  ロシア農業監督庁のアレクセイ・アレクセエンコ氏は、オーストラリアの食肉生産者らがこれまでにもホルモンの使用禁止に関する警告を受けていた点を強調して、メディアがオージービーフに対する禁輸措置の原因はオーストラリアによる対ロシア制裁の支持にあるとしていることに遺憾の意を表し、こう述べた。「昨年、オーストラリアの代表らとの会合があり、禁止物質を含んだ肉は輸出しないとの確約がなされたのに、相変らずそうした物質が検出されつづけているのです」

  昨年、米国、カナダ、メキシコ、ブラジルの輸出業者が、成長促進剤(ラクトパミン、トレンボロンのアメリカ版)を使用したために処分を受け、ロシアは、その際にも彼らの製品に対する一時的制限を導入し、彼らは、生産ラインを国内向けとロシア向けに分けることになり、米国とブラジルの一部の企業は、すでにロシアへの肉の輸出を許可されている。

 

 国内生産

 ロシアでも、霜降り肉の生産を軌道に乗せる動きがみられているが、専門家らの評価では、フル稼働までに少なくとも数年はかかりそうだ。

 たとえば、高級スーパーマーケットチェーン「アーズブカ・フクーサ(味覚のいろは)」は、独自の霜降り牛肉の生産に乗り出しており、代表のウラジーミル・サドーヴィン氏は、ゆくゆくは肉がカルーガ州の農場から供給されるものの今のところは実験と言ったところ、と以前メディアに語っていた。

 ヴォロネジ州でも、畜産クラスターの枠内で農場が創設されている。2012年には、オーストラリアから優良種の牛がそこへ運ばれ、昨年半ばには、成熟した牛が3200頭、仔牛が948頭を数え、2014年には、約3000頭の仔牛を搬入する予定だという。

 その他の州でも、プロジェクトがスタートしている。今年初め、霜降り肉に用いられるアバディーン・アンガス種の牛が、1000頭以上、ニジェゴロド州の農場へ運ばれた。今年3月末には、7000頭の優良種の牛が、オーストラリアからリペツク州へ運ばれ、そこでは、ロシアのみならず欧州でも最大の霜降り肉生産農場が創られつつある。有限会社「アルビーフ」の生産発展プロジェクトリーダーであるアレクセイ・ログヴィノフさんが以前メディアに語ったところでは、同農場は将来的には13000頭の牛を保有し、霜降り肉は独自の精肉コンビナートで加工され、フル稼働すれば昨年は2000トン余りだった生産量が4000トンを上回る。

 このプロジェクトは、州政府の支援を受けて食肉用畜産発展特定目的プログラムの枠内で実施されており、リペツク州農業局のジナイーダ・ヴォルコワ副課長によれば、同州では遺伝学センターの建設も予定されているという。

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