ロシアとウクライナがケルチ海峡の架橋について活発に協議し始めたのは2010年=アンドレイ・ステニン撮影/ロシア通信
ケルチ海峡に鉄道車道併用橋を
ケルチ海峡の横断路の設計・調査作業は最短で実施し、今年末までには最適な建設案を選定する――。
クリミア交通問題会議で、マクシム・ソコロフ運輸相がウラジーミル・プーチン大統領にこう述べた。プーチン大統領は、鉄道と車道の併用橋であるべきとの意見を示した。
これらの要求への対応については今のところ不明だが、ソコロフ運輸相は橋以外にも、ケルチ海峡の底にトンネルを設置する案も検討対象であることを伝えた。
ソコロフ運輸相は、ケルチ海峡架橋の実現可能性調査手順を、政府が決定していることを強調。設計・調査作業は今年行われる予定。この入札案件はすでに国家発注サイトに掲載されており、見積もり額は3億8400万ルーブル(約11億5200万円)になっている。
この場所の地質条件や環境条件が難しいことから、最適な提案が選ばれる。プロジェクト受け渡し後に運輸省がソリューションの実現に取り組み、その後建設が始まる。建設プロジェクトの実現を担当するのは、最近創設された公開株式会社「ケルチ海横断路」。
運輸省によれば、車道橋の建設には、少なくとも500億ルーブル(約1500億円)必要だという。鉄道が加わった場合は、この2倍になる見込み。ウラジオストクとルースキー島を結ぶ車道橋の建設には、340億ルーブル(約1020億円)かかっていた。
「ケルチ海横断路」の社長ならびにプロジェクト責任者に任命されたのは、アレクサンドル・アファナシエフ氏。アファナシエフ氏はロシア連邦道路局の関連組織の代表として、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に向けた橋の建設を担当した。
すでに関心を示している業者も
プロジェクトの開発には、すでに一部の業者が関心を示している。「ロシア鉄道」は参加の意思を伝えた。
ユーリー・ルシコフ元モスクワ市長も興味を持っている。2000年代初め、ウクライナとロシアの大統領とともに、橋またはトンネルの建設について協議し、提案も行っていた。ルシコフ氏によると、架橋費用は10年で回収可能だという。「クリミアの横断路によって、コーカサスからヨーロッパ諸国への道が700~800キロメートル短くなる」と19日に述べている。このプロジェクトは政治的、また経済的に有利だという。
道路調査機関協会のオレグ・スクヴォルツォフ理事は、橋の建設期間を4年ほどと考える。「主な問題は、現行の都市建設法典では、プロジェクトが受け渡されるまで準備作業を始められないこと。ロシアの専門家にはこのような建設の経験が豊富にある。最近ではルースキー島や、アムール川の鉄道車道併用橋など」。ロシアにはこのような難題をすばやく、きれいに遂行できる会社がたくさんあるという。「同じ径間の橋の建設費用は、現場の環境特性や地質特性によって大きく変わる。そのため、現段階でケルチ海峡の橋の費用を見積もるのは困難」
ロシアとウクライナがケルチ海峡の架橋について活発に協議し始めたのは2010年。昨年は二国間建設協定に署名が行われた。だがロシアへのクリミア編入により、橋はロシア側の投資のみで行われることになる。
ケルチ海峡に最初に橋が建設されたのは1944年。橋の支柱が氷荷重に耐えられずに数ヶ月でこわれたため、そのまま撤去された。
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