ロシア銀行(ロシア中央銀行)が2014年3月4日から設定するドルの対ルーブル公式レートは、ほぼ20コペイカ上昇し、1ドル36,38ルーブルとなった。これは、2009年2月7日の1ドル36,3ルーブルを五年ぶりに更新する安値=マキシム・ブリノフ撮影 / ロシア通信
暴落
先週末、ロシア議会上院(連邦会議)はウラジーミル・プーチン大統領にウクライナへの軍の派遣を許可し、世界の市場に衝撃が走った。投資家らは、西側の大国が徐々に巻き込まれつつある紛争拡大の脅威を過小評価していた。その結果、週明けの月曜日、フランクフルト証券取引所のDAX(ドイツ株価指数)は2,5%、東京証券取引所の日経株価指数は1,27%、それぞれ下落した。しかし、最も懐疑的な反応を示したのは、ロシアの証券市場で、モスクワ時間16時30分の時点で、MMVBは12,5%、RTSは14%、それぞれ下落した。
外国為替市場の取引は、ルーブル安で始まり、欧州単一通貨は、初めて1ユーロが50ルーブルを超え、ロシア銀行(ロシア中央銀行)が2014年3月4日から設定するドルの対ルーブル公式レートは、ほぼ20コペイカ上昇し、1ドル36,38ルーブルとなった。これは、2009年2月7日の1ドル36,3ルーブルを五年ぶりに更新する安値。
利上げ
ロシア中央銀行の最初の防御措置の一つとなったのは、声明によれば「インフレおよび財政安定にとってのリスク発生の防止のために」講じられた、中央銀行の公定歩合の5,5%から7%への暫定的な引き上げ。ブローカーハウス「オトクルィーチエ」市場分析課長のコンスタンチン・ブシューエフ氏によれば、この措置は「市場を崩壊や資本流出の拡大から守るもの」
しかし、中央銀行の「盾」がどのくらい市場を支えられるかは、わからない。先週末はウクライナ情勢がめまぐるしく変化し、コメントを求められたアナリストらの大半は、当面の市場の推移を予想することを躊躇った。多くの専門家は、現在の状況をロシアが南オセチアで平和維持作戦を開始した2008年8月の出来事と比較している。当時、ロシア軍が導入された翌日、MMVBは5%、RTSは6,5%、それぞれ下落した。
軍事行動の費用
アナリストらは、クリミアの現状もグルジア戦争と比較している。軍事予想センター所長のアナトリー・ツィガノーク氏がテレビ局RBCに語ったところでは、クリミア半島での軍事行動の費用は、2008年8月8~12日の五日間のグルジアとの紛争への支出に匹敵する。戦略テクノロジー分析センターの算定では、南オセチアの和平のためにロシアは125億ルーブル(当時のレートで約4億ドル)を費やした。しかし、そうした比較が可能なのは、その確率は低い全面的な軍事行動の場合に限られる。軍事支出のほか、ロシアには、公務員の給与の支払いに事欠くクリミアへの財政支援も行う用意がある。
経済制裁
投資家らを不安にさせるもう一つの要因は、EUおよび米国の側からのロシアへの圧力であり、欧米は、ロシアに対し、政治的制裁(G8からの排除)や経済的制裁(通商関係の悪化)をちらつかせている。しかし、欧州は、声明のトーンが米国ほど厳しくなく、主要な貿易相手国の一つであるロシアとの関係を損ねることを望んでいない。というのも、EUの輸出全体に占めるロシアの割合は、米国と中国に次いで第三位、しかも、ロシアは、欧州にとって主要なエネルギー供給源であり、現在の危機は、それでなくとも、ガスはこの先も円滑に供給されるのだろうかと欧州諸国の気を揉ませているのだから。
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