東方へのロシアの石油の流れ

国営石油採掘会社「ロスネフチ」は、アジア諸国への輸出をもくろんだ、東シベリアの油田への投資拡大を発表した=ロシア通信撮影

国営石油採掘会社「ロスネフチ」は、アジア諸国への輸出をもくろんだ、東シベリアの油田への投資拡大を発表した=ロシア通信撮影

国営石油採掘会社「ロスネフチ」は、アジア諸国への輸出をもくろんだ、東シベリアの油田への投資拡大を発表した。 西方へのロシアの石油輸出が減る一方で、東方への輸出は今後増えると専門家らは考えている。

 ロスネフチはバンコル油田集積(クラスノヤルスク地方)の開発に3兆ルーブル(約9兆円)ほど投資する予定であることを、ロスネフチのスヴャトスラフ・スラヴィンスキー経済・金融副本部長がクラスノヤルスク経済フォーラムで発表した。

ロシアの石油輸出量

 燃料・エネルギー複合体中央指令局のデータによると、CIS諸国を除いた外国向けのロシアの石油輸出量は昨年、2.2%減の2億690万トンまで減少した。減少はほとんどの企業で見られ、2012年より6%少ない1億7000万トンの石油がヨーロッパに輸出された。だがアジア諸国(主に中国)への輸出は15.6%増の3710万トンまで増えた。

 「スズン、タグル、ロドチノエのバンコル油田を基礎とした石油ガス集積を開発している。今はタアスユラフ(スレドネ・ボツオビン油田)、ユルブチェノタホモという新たな資産もある」

 スラヴィンスキー本部長によると、この開発によって高度人材1万5000人の雇用が創出され、8兆ルーブル(約24兆円)が予算にもたらされるという。この集積だけでも、2025年には年間5500万トンの原油の採掘が可能になる。

 以前、バンコル集積で2019年には2500万トンの採掘が可能になると発表していた。ロスネフチは昨年、原油2140万トン、ガス65億5000万立法メートルを採掘。今年2月にはタグル油田の開発に着手した。

 

東にシフト

 バンコル集積の開発はロスネフチの戦略的利益に含まれ、東シベリアにおける同社の資源基地の拡大に向けられている。この集積の石油はモンゴル、中国、アジア太平洋諸国(AP)への輸出用。

 東方に向きを定めることは今日、ロシアの石油企業の傾向になっている。「主なロシアの石油の消費地域は依然としてヨーロッパだが、ほぼ全量を中国への輸出用としているバンコル集積への大規模な投資は、東方への移行を刺激する」と、ロシア産業企業家同盟専門家研究所のアンドレイ・ネシチャディン教授は話す。

 ロスネフチは今日、東方への最大の供給者である。2011年から「中国石油天然气集団公司(CNPC)」に、年間1500万トンをスコヴォロジノ(アムール州)経由で供給している(2030年までの総輸出量は3億トンになる見込み)。さらに25年間で3億6500万トンを販売することについて、両社は合意した。

 「ヨーロッパやアメリカよりも、東・東南アジア諸国の価格の方が著しく高い。これはインドと中国という新興国で、エネルギー需要が大幅に伸びていることに起因している。成長著しい市場で、石油の需要が高いため、ロシアの石油企業が東方に向きを変えているのは自然なこと」と、ロシア科学アカデミー石油・ガス研究所のアナトリー・ドミトリエフスキー所長は説明する。

 これらの油田から東方に供給することは当初、論理的に妥当ではなかったと、「スコルコヴォ」石油・ガス運営効率・ポートフォリオ管理部のセルゲイ・クルプコフ部長は考える。クルプコフ部長の評価によると、東シベリアの開発油田からの石油採掘量は4000万トンを超えず、東シベリア・太平洋(VSTO)には不十分であるという。ただし、輸出の多様化の観点から見れば、これは正しい決定だと考える。

 中国経済の成長を考えると、もっとも控えめに予測したとしても、ロシアからのエネルギー供給は長期的に必要、とネシチャディン教授。さらに西側での最近のシェール・オイル採掘や風力発電のトレンドが、ロシア石油の需要に悪い影響を与える可能性もある。このようなことから、ヨーロッパへの輸出減少はあり得る。クルプコフ部長も同じ意見で、ヨーロッパへの石油供給自体も、西シベリアや沿ボルガ・ウラルでの採掘の減少と、東方への供給によって減るという。