日本製歯磨き粉

Shutterstock/Legion-Media撮影

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日本から来た1本3000円の歯磨き粉が、ロシアの消費マーケットで着実に売り上げを伸ばしている。

 「芸能人は歯が命」のキャッチコピーが日本を席巻したのは1990年代のこと。これをきっかけに高機能歯磨き剤を大ヒットさせたサンギ(東京都中央区)が今、ロシア市場に挑戦している。

 ロシアで販売するのは同社のロングセラー歯磨き剤「アパデント」虫歯を防ぐサンギ独自の有効成分「薬用ハイドロキシアパタイト」を配合し、日本でも1本(120グラム)2000円前後で店に並ぶ高級品である。

 ロシアでは1本990ルーブル約2900円)前後とが張るが、2011年末に初出荷した1万本は1年で売り切れ、12年末に追加輸出、13年秋にも輸出している。

 昨夏には、ロシア向けに独自開発した子供用歯磨き剤を新たに投入し、売れ行きは好調

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 アパデントの容量を半分にしたタイプも今年1月に発売した。サンギで海外市場開発を担当する朝倉美穂さんは「高機能歯磨きのブランドとして、シア人に認められつつあると感じます」と手応えを語る。

 サンギは会社設立から30年以上国内事業に特化していた。ロシア輸出は初めての外国市場進出である。しかし、初めからロシア市場に狙いを定めていたのではなかったという。

 サンギは科系の国際学会などを通して国内外の専門家に知られた存在であり、取引の打診は世界各国から集まっていた。

 2010年春に海外市場開拓の部署を設立しそれまでにコンタクトがあった数十の外国企業に、現地の市場環境、その企業の販売体制などを問い合わせた。

 数カ月にわたる選考をへて、サンギはモスクワの歯科用品商社、ナノデント社をパートナーに選んだ。ロシア国内のアパデントの流通・販売は原則的に同社に一任する。

 「当初は私自身ロシアのことはよく知らなかったのですが、彼らが市場の情報をしっかりと持っていて、聞けばすぐに詳しい回答が返ってきた。ロシア進出ありきというより、信頼できるパートナーがロシア企業だった、という方が実態に近いですね」(朝倉さん)

 日露間のビジネスではよく「言葉の壁」が問題になるが、両社のやりとりはすべて英語という。毎週1回、モスクワと東京を結ぶ電話会議で情報を共有しており、コミュニケーションは順調だ。

 商品にはシア側からの意見も大きく反映されいる。日本の歯磨き剤であることをアピールするためにあえて日本の外箱をそのまま使い、側面にロシア語での成分説明シールを貼った。

 新商品の子供用アパデントには、ロシア人デザイナーが描いたキャラクターを外箱にあしらった。フルーツの香りをつけたこの歯磨き剤は本では未発売である。

 サンギは旧ソ連や90年代のロシアと縁がなく、それゆえにロシアビジネスに対して偏見の少ない企業だ。

 ナノデント社やの親会社にあたる医療系企業の経営陣3040の若い世代という。ロシアを特別視せず世界市場の一つとして扱う日本企業といロシア企業。そこには、昔のロシアビジネスとは異なる風景があるようだ。

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