サハリンでマンゴー栽培

吉村慎司撮影

吉村慎司撮影

熱帯フルーツの代表格であるマンゴーを、サハリンで栽培する構想が動き出した。日本から手を貸すのは、気候の似た北海道でマンゴーを育てている農業生産法人、神内ファーム21だ。昨年11月、ユジノサハリンスク市のアンドレイ・ロプキン市長が来日した際に同社を視察し、神内良一社長と会談。市長からの技術供与要請に神内社長が応える形で合意した。

 当面は同社とサハリン企業との合弁会社設立をめざして、ユジノ市を仲介役に協議を進める見通しだ。神内ファームの広報担当者によれば、今年6月に同社幹部がサハリンを訪ね、現地の農業関連インフラや農産品流通状況を確認した上で具体策を練るという。

 神内ファームは浦臼町に600ヘクタールの敷地を確保し、温室22棟を使って南国フルーツを10種類栽培している。棟ごとに室温を変え、季節を問わず生育、出荷できるのが強みだ。高品質を売りにするマンゴーの場合、出荷先の百貨店で1個1万円超で販売されるという。フルーツのほか、日本では珍しい赤毛和牛の飼育も手がける。

 隣接するサハリンと北海道は気候がほとんど同じとされる。関係者は、温室を使ったマンゴー栽培の技術はサハリンでも応用できると期待を寄せる。

 神内社長は消費者金融大手「プロミス」の創業者だ。金融業の一線を退いた1997年、青年時代から抱いていた北海道農業への夢を実現しようと70歳で設立したのが神内ファーム21である。日本の農業界では異端中の異端。ロシアでその存在感を発揮する日も、そう遠くないかもしれない。

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