ガス採掘会社「ヤマルLNG」の取締役会は、ヤマル半島でのLNG工場の建設について、最終的な投資決定を行った=セルゲイ・クラスノウホフ / ロシア通信撮影
日揮もLNG工場建設に参加
「ヤマルLNG」は、南タンベイ・ガス田のLNG基地プロジェクト(備蓄量はPRMS基準で9070億立法メートル)。年間550万トンの生産ライン3本が完全に稼働するのは2018年。株主は「ノバテク」(80%)、「トタル」(20%)。「ノバテク」の株式を「CNPC」(20%)が取得することが 決まっている。
工場の最初のラインが本格的に始動するのは2017年。石油との絡みや、アジアと一部ヨーロッパへのガスの輸出で、予定生産量の70%はすでに契約済み。正式に発表されている契約は今のところ、「中国石油天然気集団公司(CNPC)」の年間300万トンと、「ガス・ナトゥラル・フェノーサ」(スペイン)の年間250万トン。
工場以外にもサベッタ村の空港や海港を含めた輸送インフラが整備される。
現在までに主要な入札は実施済み、また重要な契約は締結済みである。LNG工場の設計および建設についての契約(EPC契約)は、フランスの「テクニッ プ」と日本の「日揮」の合弁会社と結ばれている。さらに長期生産用設備も発注済み。工場建設用地が整備され、LNG貯蔵タンクの杭基礎工事がすでに始まっている。
コストパフォーマンスと将来性
「コスト上昇はよくあること。我々のモデルでは250億ドル(約2兆5000億円)を見積もっていた」と、「ズベルバンク」の分析部門「ズベルバンク・インベストメント・リサーチ」のアナリストであるワレリー・ネステロフ氏は話す。すべてのLNGプロジェクトのコストが最近、LNGの需要増、専門家の不足、設備生産能力の不足などによって高騰しているという。それでもヤマルLNGの単位当たりのコストは、ここ2年世界で始まった、もっとも効率的なプロジェクトの一つであり続けている。「サハリン2」の1トン2290ドル(約22万9000円)や、オーストラリアの一部プロジェクトの3500ドル(約35万円)強に対して、1640ドル(約16万4000円)だ。
公開株式会社「ノバテク」はロシア最大の独立系天然ガス生産・販売会社で、採掘量で国内2位に位置する。ガスや液体炭化水素の調査、採掘、精製を行っている。同社の鉱床やライセンスを保持している区域は、天然ガス採掘において世界最大の地域であるヤマロ・ネネツ自治管区にある。ヤマロ・ネネツ自治管区はロシアの天然ガス採掘の90%、世界の20%を占めている。
ノバテクのレオニド・ミヘリソン取締役会長によると、ヤマルLNGはノバテクを新たなレベルへと高め得る、戦略的に重要なプロジェクトだという。またヤマル半島の資源基地開発およびLNG生産拡大という、ロシアの戦略に沿って進められているプロジェクト。
イヴルイ・ダリキャレール・トタル採掘・生産担当社長はこう話す。「ヤマルLNGプロジェクトの今後について、良き決定がなされたことで、2017年以降10年間の生産量を維持するためのトタルの世界的なプロジェクトのポートフォリオが埋まり、ガス備蓄できわめて有望なロシア地域における、トタルの位置づけが強化される。ここ数ヶ月でヤマルLNGプロジェクトは大きく前進し、トタルはノバテクと協力しながら、当社の専門的潜在性を最大限に活用し、この一大LNGプロジェクトが予定通りに実現するよう、最大限に努力する」。
*以下の記事を参照。
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