ヤフーやグーグルに挑む検索エンジン

IT大手のMail.Ruグループは、スタートアップMy.comを携えて国際市場へ乗り込むことを決めた=タス通信撮影

IT大手のMail.Ruグループは、スタートアップMy.comを携えて国際市場へ乗り込むことを決めた=タス通信撮影

グーグル、マイクロソフト、ヤフーに、ロシアのライバルが現れた。IT大手のMail.Ruグループは、スタートアップMy.comを携えて国際市場へ乗り込むことを決めた。すでに有力な製品があるものの、専門家らは、ロシアのプロジェクトには勝機があるとみなしている。

3つの新製品 

 このプロジェクトは、交信と娯楽のためのアプリを提供する。Mail.Ruグループの本部はシリコンバレーに置かれる予定で、myMail、MyChat、myGamesの三つの製品が用意される。

 一つ目の製品myMailは、Gmail、ヤフー、グーグルを含むすべての人気サービスのアカウントをサポートするiOSおよびAndroid向けの直感的インターフェイスを備えたメール・アプリで、これによって、ユーザーは、元々は対応するテクノロジーをサポートしていなかったメールサービス・アカウントのためのプッシュ・ノーティフィケーションを、柔軟に使用できる。二つ目の製品myChatは、無料のSMSや音声およびビデオ通話を提供するモバイル・メッセンジャー。三つ目の製品myGamesは、Androidベストセラーのトップ25に入るJungle Heatを含む無料ゲームのコレクションだ。

 

「まったく新しい実験」 

 「ロシアNOW」の取材に応じた同社の広報担当者によれば、どの製品にも、一連のメリットがある。それは、myMailにおいては、すべてのメール・アカウントを一つのアプリに接続させる可能性、パーソナル・ノーティフィケーションの柔軟な使用、軽いインターフェイスなどであり、myChatにおいては、交信ならびに音声およびビデオ通話の可能性だ。

 同社は、現代的なスマートフォンの積極的なユーザーがmy.comの最初のオーディエンスになる、とみているが、今のところ、予想に関してはたいへん慎重であり、一年以内にターゲットとするオーディエンスを明らかにしておらず、Mail.Ruグループの広報担当者は、こう語る。「my.comは、まったく新しい、それだけに私たちにとって興味深いプロジェクトであり、多くのことが、初めて、実験的に行われていますから、結果を公けに予想することはできません」。また、現時点ではどのアプリにも広告がないため、広告収入の予想も立たないという。

 

強みと弱み 

 ロシアの専門家らは、同グループの国外市場への果敢な参入は確実な根拠に基づく動きであると考えており、ロシアで有名なITマネージャーでロシアのインターネット界の「グル」の一人であるアントン・ノーシク氏は、こう語る。「アドレスmail.ruには、国外のオーディエンスを引き寄せるチャンスは少ないでしょうが、my.comは、もっと短いので切り札となりえますね」

 同氏によれば、Mail.ruの強みは、15年に亘るこの種のサービスの経験であり、弱みは、Gmail、マイクロソフト、ヤフーといったグローバルなライバルたちだ。

 ノーシク氏は、こう述べる。「ロシアのプロジェクトがメールの分野に根を下ろすことができるとすれば、ゲームを通してでしょう。これは、Mail.Ruグループが得意とする分野ですから、my.comは、まず、ゲーム市場でひじょうに大きなオーディエンスを集めることができます。そんなことはまだ誰もやったことがないだけに、まさに見ものですね」

 

メール・サービスでシェア70%超だが 

 Mail.ruは、ロシアで最もポピュラーなメール・サービスで、そのシェアは、70%を超える。このシェアは安定しているが、他のサービスのユーザーを取り込むのは容易でなく、ライバルとて顧客の獲得に必死なのだ。また、インターネット・ユーザー増加のテンポが緩んでいるため、同社は、新たな活路や経営を上向かせる可能性を模索しなくてはならない。

 Mail.Ruグループの創始者の一人で社長であるドミトリー・グリシン氏は、こう語る。「数学、物理、工学の分野におけるロシアの開発者の技能が高いおかげで、わが社は、ロシアのインターネット部門をリードすることができました。現在、私たちは、これまでに培った経験と技能をグローバルな市場へ進出するために利用しています」

 ヨーロッパでの良い経験も、さらなる拡張のための前提条件を創り出しており、昨年、Mail.ruは、欧州の大手メール・サービスのトップ5入りを果たし、ユニークなアクセスの数で4位になった。

 

グーグルやヤフーの壁を超えるには 

 しかし、投資会社「ツェリフ・キャピタル・マネージメント」のアナリストらは、それは、アメリカ市場を通した国際市場への進出がストレートで容易であることを意味するものではないと見ている。チャンスはないとは言えないが、市場は、生き残りばかりでなくシェアの拡大も狙っているグーグルやヤフーといった大手企業に牛耳られてしまっている。アナリストらは、こう語る。

 「新しいプロジェクトは、インターフェイスの快適さ、新たな可能性、独創性でユーザーを惹きつけることができるでしょう。また、同社は、抜け目のなさを発揮し、オランダでデータを保存しています。最近の米国における個人情報をめぐるスキャンダルを背景に、これは、新たなユーザーの心を掴む一助となるかもしれません」