PhotoXPress撮影
特徴①
信頼したらとことん
ロシア系資産運用会社「ルネッサンス・アセット・マネージャーズ」の営業部長、サイモン・フレッチャー氏はロシアの銀行からビジネスの実情を探った。
英国人であるフレッチャー氏が新たな提案をすると、「ロシア人は最初は懐疑的だった」という。
交渉の最初に警戒心を見せるのは、ソ連時代から変わらないロシア人の特徴だ。初めに要求や条件を高め協議の後で譲歩する戦術は広く普及していた。
ただ、「ロシア人にとって信頼は極めて重要な資質で、一度信頼すると永遠に続く」とフレッチャー氏は語る。
同じ見解を示すのはロシア出身のポリーナ・ラグチナ氏。現在、メルボルンにあるイギリス系監査法人「プライスウォーターハウスクーパース」に勤務している。
「ロシア人は最初の会議では相手が信頼できるかを探るだけで、打ち解けないことが多い。偏執的な防護柵をつくっているように見えるが、そんなことはない。一度信頼されたら、ロシア人は最も献身的な友になる」
サイモン・フレッチャー氏、ロシア系資産運用会社「ルネッサンス・アセット・マネージャーズ」営業部長
「ロシアの実業界は西側メディアで描かれるような固定観念とは全く違う。ロシアに暮らして7年。このままいるつもりだ。面白い挑戦もできる。私はここでビジネスマンとして成長できた」
特徴②
実は率直で開放的
ロシア人は相手を信頼すると急に感情を表に出す。率直でかつ開放的になるのだ。会話に夢中になったロシア人は許される限りの近い距離まで迫り、相手の肩をたたいたりする。
その半面、ロシア人は、外国人が見せる社交的笑顔を理解できない。礼儀正しさを尊敬しても、まねはしない。ラグチナ氏は真意をこう解説する。
「性格によって差はあるものの、信頼していない相手には喜びを見せず、虚栄を張らない。無駄にアピールするとしっとを買い、自尊心を傷つけられるからだ」
1.バルト三国では、価格を不当につり上げて商いをする人のことを「ロシアのビジネスマン」と呼ぶ。
2.西ヨーロッパでは、ビジネスで利益よりも損失を多くもたらす実業家のことを「ロシアのビジネスマン」と呼ぶ。
3.アメリカでは、税金から逃れるなどの方法で得をしようとする人のことを「ロシアのビジネスマン」と呼ぶ。(本文に登場する英国人のフレッチャー氏もこの見方は「全く違う」と述べている)
特徴③
儀礼は後から
信頼関係が強いほど儀礼は少ない。会話に前置きがなく、最初に重要な話や要求を伝えて、後で「元気にしていますか」や「天候はどうですか」と聞く。
フレッチャー氏は、ロシア人が仕事の話をする場所は事務所ではないと確信している。
「一日の始まりは遅く、深夜まで仕事をする。ロンドンやニューヨークでは昼間に事務所で仕事を終えるが、ロシアのレストランはどこもビジネスマンだらけ。どの時間帯でも仕事をしている。カフェやレストランでの話題は役員室での内容よりも期待できる」
特徴④
融通無碍
フレッチャー氏はこのような特徴をロシア人の長所の一部と話す。
「ロシアには常にチャンスがある。ロシアの企業家精神は独創的。何もないところから自分で発明しなければいけないから」
標準的でない方法を模索するのは、普通の進め方が必ずしも有効とはならないためだ。
「ロシアの実業家は多くの産業で国有企業と競争しなければならない。国有企業に勝つためには、融通を利かせることが必要だ」
特徴⑤
いつも不満足
世代の差もある。ソ連の学校教育を受けた50歳以上の人々はリスクを嫌い、過去の努力の成果を得た人が多い。
40歳代にも自制する部分はあるが、新しいビジネスを行う度に自己規制は緩和される。より多くを求め、永遠に満足しないのがロシア人だ。
特徴⑥
おせっかい大好き
ロシア人は助言をするのが大好きだ。ラグジナ氏の知り合いのオーストラリア人はロシア人をこう評した。
「最初はすごくうんざりした。どのロシア人も僕がすでに知っていることをわざわざ教えにきて、知識をひけらかしてるなと思った。だけど、あとでこれが相手に対する思いやり、また友情の証しであり、自己顕示ではないとわかった」
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