モスクワっ娘に人気の衣料品市場

「チェルキゾーン(チェルキーゾフスキー市場の俗称)」の閉鎖は、モスクワ市民にとって最も忘れがたい出来事の一つとなった。=PhotoXPress撮影

「チェルキゾーン(チェルキーゾフスキー市場の俗称)」の閉鎖は、モスクワ市民にとって最も忘れがたい出来事の一つとなった。=PhotoXPress撮影

衣料品市場は、依然として堅調であり、インフォライン社の調査によれば、組織性のない小売市場の割合は、衣料品販売全体のほぼ半分を占める。しかし、物品市場は、他の消費部門の市場と比べて客離れのテンポが緩やかであるとはいえ、チェーンの小売商店にすでに顧客を奪われつつある。

 三人の子供をもつモスクワっ娘、リータ・ゴンチャローワさんは、ロシア最大の市場の一つ、チェルキーゾフスキー市場が2009年に閉鎖されたとき、悲嘆に暮れた。家族の普段着をたいていそこで購入していたからだ。4年前に同じような思いを抱いた人は多く、その年に関するスーパージョブ社の世論調査によれば、「チェルキゾーン(チェルキーゾフスキー市場の俗称)」の閉鎖は、モスクワ市民にとって最も忘れがたい出来事の一つとなった。現在、ゴンチャローワさんは、近所に手ごろな市場がないため比較的安いマルチブランドショップを利用するようになったが、もしもチェルキーゾフスキー市場があったなら迷うことなくそこで買い物を続けられたのに、と悔しがる。

 

衣類を買うなら市場 

 総じて、ロシア国民にとって、衣料品市場は、今も魅力的で、ときには衣服を手に入れる唯一の場所となっている。インフォライン社の婦人服のマーケティングリサーチによれば、ロシアの女性は、他の部門の組織性のない小売商店と比べて物品市場を利用する度合いが高く、婦人服販売全体に占める割合は、組織性のない小売商店が46%、マルチフォーマットのデパートが20%強、チェーンの小売商店が約19%となっている。

 婦人服市場が調査の対象となった主な理由は、紳士服および子供服の割合が40%なのに対し、婦人服の割合が60%と大きいためだ。インフォライン社のイワン・フェヂャコーフ社長によれば、平均的なロシアの家計において、紳士服への出費は後回しにされている。ここ数年、リテールは男性に注目し、紳士物も伸びを示しているものの、このセグメントのキャパシティーは、依然として小さい。

 調査の結果から、消費動向の興味深い一面が浮かびあがる。それは、組織性のある小売商店は、低価格帯および中価格帯において、より競争力のある低廉な価格を提示することがよくあるということで、たとえば、同じカテゴリーの商品でも、Oodji、Sela、Gloria Jeans、Jennyferといった低価格帯のチェーンの小売商店より市場の方が15~20%高かったりする。

 

「商業用不動産の活況で状況が変わる」 

 しかし、市場の商人たちは、依然楽観的で、近いうちに状況を転換できると踏んでいる。Finn Flare社のクセニヤ・リャーソワ社長はこう言う。

 「わりと最近まで、地方の消費者は、買い物をする場所の選択肢がないため、否が応でも市場へ足を運んでいました。物品市場につきもの雨風や凍てつく寒さや灼けつく日射しをがまんしなくてはなりませんでした」。

 リャーソワさんによれば、地方では、商業用不動産の良い物件が不足していたため、テントでの買い物を控えるという、とうに見られていたトレンドにブレーキがかかっていた。

 今日、リテーラーたちは、地方における商業用不動産部門の景気は上向いているとみなしており、リャーソワさんは、こう語る。「開発業者は、すでに人口10万以上の都市に注目し、かつて中断された建設プロジェクトが再開されています。私たちは、2013年から2015年にかけて商業用不動産の規模が増大する傾向を予想しています」。

 

テントからショッピングセンターへの道 

 また、デベロッパーたちは、大手の国際および連邦のリテーラーに関心を示しており、ビッグなプレーヤーには、自分たちのプロジェクトをプロフェッショナルに展開し、ありとあらゆる客層をショッピングセンターへ惹きつける可能性がある。リャーソワさんは語る。

 「物品市場で商いをする卸売業者たちは、市場のフォーマットが無条件に人気を失いつつあることを認識し、ショッピングセンターへ進出しようとしています。たとえば、『キンポウゲ』といった看板の店が一流ブランド店にまったく太刀打ちできないことは、火を見るより明らかです。連邦の商標の価格のほうが、買い手にとってかなり魅力的になるでしょう。というのも、ブランドに対する信用は、きまって無名の商店に対する信用を上回るからです」。

 コンサルティング会社「エスパーグループ」のダリヤ・ヤージェルナヤ経営責任者も、地方における商業用不動産ブームを指摘し、次のように語る。

 「消費者が、市場を信頼し、具体的な売り手やその売り手が入荷する商品との揺るぎない関係を築いていた10年前には、競争など考えられませんでした」。

 現在、消費者は、物品の購入により合理的にアプローチするようになり、良質なサービス、返品の保証、試着室の有無、程よい照明、売り子さんのアドバイスなどを考慮したうえで、できるだけ低い価格の商品を選択している。

 

元記事(露語)