LCV市場でダントツ1位のガゼリは、欧州ビジネス協会によると、2012年までにおよそ9万200台が売れた。=タス通信撮影
4月に、ニジニ・ノヴゴロドの自動車メーカー「GAZグループ」は、第二世代の小型商用車(LCV)、ガゼリ・ネクストを発表した。仮に、新モデルがその前身同様に、国内ベストセラーにならないとしても、ちょうど良いタイミングで市場に現れた。
「市場は新しいものを待っていた」と語るのは、モスクワを本拠地とするベレス・キャピタルのアナリスト、アイラト・ハリコフ氏。「以前のガゼリはもう時代遅れで、フォードなどの外国車に抜かれていた」。
軽トラックの代名詞に
GAZは、LCV市場というものがなかった1990年代初頭のポスト・ソ連時代に、LCV市場に“押し入った”。生産された数万台の車は、主に特殊車両として使 用された。しかし、ロシアの中小企業の数が急増するとともに、 GAZが提供する安価で手入れが簡単な商用車が人気を博した。
同じくGAZ製のヴォルガ車のパーツを用い、車のメンテを簡素化したガゼリは大成功した。発売からの20年間で150万台以上のガゼリが生産され、ブランドの名前は、ロシア語では「軽トラック」を指すようになった。ミニバンのソボルや中型のヴァルダイ・トラックなど、類似品も現れた。
LCV市場でダントツ1位のガゼリは、欧州ビジネス協会によると、2012年までにおよそ9万200台が売れた。しかし、ガゼリが時代遅れになるとともに、消費者がより多くを求めるようになり、GAZは外国のライバルに市場シェアを譲った。
2012年にはフォルクスワーゲン、フォード、プジョーとフィアットは、ロシアで合計4万4800台のLCVを販売し、フォルクスワーゲンは売り上げを31%伸ばし、1万6100台に達した。同時期、ガゼリの売上高は横ばいだった。
外国部品を使用して大改造
こうした状況の変化を見て、今まで国産部品のみを使用していたガゼリは、総額50億ルーブル(約150億円)に及ぶ改良を行った。
結果は、根本的なモデルチェンジとなった。カミンズのディーゼルエンジン、ZFのステアリング、マンドゥのダンパー、アンヴィスの防振部品、ボッシュとマ ンドゥのブレーキ部品、CSAカステリョンの調節可能なステアリング·コラム、ザックスのクラッチ、タカタのシートベルト、デルファイのエアコンやイスリ ングハウゼンのドライバーズシートを搭載した。
新旧両方のモデルは、同じラインで組み立てられる。「これらの車は、ロシア国内ではもちろん、海外でも大きな展望があると期待します。我々は、このような改良を すべての生産分野で行うよう努めており、GAZは素晴らしいお手本です」。ガゼリの発表会で、ドミトリー・メドベージェフ首相はこう語った。
CISのほか欧州にも輸出する意向
GAZはすでに輸出を進めている。2012年秋には、GAZグループのボー・アンダーソン社長は、売上高の約15~20%は旧ソ連諸国が占めるだろうと述べた。また同社は、ヨーロッパにも輸出する計画があり、ユーロ5基準に一致するカミンズのエンジンが有利だろうと言う。
「ガゼリが買われると確信するのは、ヨーロッパのサプライヤーから我々の車に供給される部品が、絶えず増しているということだ」とアンダーソン社長は述べる。
2012年11月、 GAZはガゼリをトルコへ輸出し始めた。そして、もっと競争力のあるガゼリ・ネクストが発表された今、同社はポーランドとドイツをターゲットにする。
ガゼリ・ネクストはそのクラスでは最高の保証条件が付いているとGAZグループは指摘する。ロシアでは3年もしくは15万キロの保証が付いてくる。「1万9千ユーロ(約250万円)のこの車は、それ自体が独自のクラスだと言える。ヨーロッパやアメリカのLCVは、少なくとも30%以上高価だ」。そうGAZグループは胸を張る。
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