北朝鮮との直通鉄道が完成

ハサン~羅津までの鉄道の改修工事完了を祝う開通式典=ロシア通信撮影

ハサン~羅津までの鉄道の改修工事完了を祝う開通式典=ロシア通信撮影

北朝鮮で9月22日、ロシアのハサンから北朝鮮の羅津までの鉄道の改修工事完了を祝う、開通式典が行われた。

 総額80億ルーブル(約240億円)以上のプロジェクトによって、国際コンテナ輸送を初期で400万トン、将来的には1700万トンまで増やすことが可能となり、環太平洋地域の輸送市場におけるロシア鉄道の競争地位が高まると、ロシアの鉄道関係者は自信を持つ。

 ただしそのためには、ロシアの鉄道のボトルネック区間の状況を改善しなければならないし、さらに北朝鮮の関与には大きな政治リスクが伴うと、専門家は警告する。

 

アジアからヨーロッパへ

 公開株式会社「ロシア鉄道」のウラジーミル・ヤクーニン社長は、このように話す。「このプロジェクトによって将来、北朝鮮の鉄道全体の列車運行を立てなおせる。これはヨーロッパ着またはヨーロッパ発の最短の輸送路になる。現在韓国からヨーロッパに輸送される貨物は海上輸送されているが、貨物コンテナ列車が走ることによって、そのほとんどをシベリア鉄道輸送に変えることが可能となる」。

 ハサン~羅津間の改修工事の際、橋18本、長さ4.5キロメートル以上のトンネル3本の建設および刷新も行った。また最新式の信号・閉塞信号・連絡設備も設置。バラノフスキー~ハサン間のボトルネック区間の状況の改善も図った。

 「このプロジェクトによって、ロシアと北朝鮮の間の貨物輸送が増加するだけでなく、経済協力関係を拡大するための条件も整備できる。最新式の輸送インフラがあれば、他の大型プロジェクト実現への道も拓ける」とロシア鉄道の関係者は話す。

 国際輸送路「東~西」はロシア、CIS諸国、ヨーロッパの貨物を、ロシア極東の港や、ロシアと北朝鮮または中国との国境まで直送する路線になるという。

 

羅津港は不凍港

 関係者は、海上輸送された貨物が到着する北朝鮮の羅津港から列車が出発する、あるいはその逆を考えている。「不凍海港である羅津港の地理的条件が良いため、シベリア鉄道を通じてヨーロッパから輸送された貨物が、ここから環太平洋の多くの国に船で輸送される」。

 「これを行うのはロシア鉄道と羅津港の合弁会社『ラソンコントランス』。この会社が鉄道を改修し、コンテナ・ターミナルを建設した」と関係者。

 しかしながら羅津港のコンテナ・ターミナルの建設はまだ完了しておらず、ロシア鉄道も完工日がいつになるのかを明言することができなかった。建設が終わるまでの期間、ロシアと中国の発送者の石炭を一定量積み替えるために、第3埠頭が暫定的に使用される。

 「年間400万トンのコンテナの輸送を確保するため、北朝鮮の鉄道とシベリア鉄道の連結部にあたるバラノフスキー~ハサン間のインフラを徹底的に刷新しなければならない。これから待避線をつくり、駅を改修し、着発線を延長し、駅間の大規模な改修を行い、最新式の電力供給設備を設置しなければならない」と関係者。

 経済学博士のアレクサンドル・ラトキン氏はこう話す。「ロシアが鉄道の改修を行っている間に、中国は琿春市から羅津港まで車道を建設してしまった。港から中国とカザフスタンを通じて、貨物が西に輸送されるようになった。このプロジェクトに着手して良かった。羅津港には競争優位性がある。北朝鮮の鉄道を動かせば、シベリア鉄道への貨物を大きく増やすことができる」。

 

元記事(露語)

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