香港のカジノ会社「凱升控股有限公司」が、ロシアのパートナーであるオレグ・ドロズドフ氏とともに、総額7億ドルを、沿海地方のカジノ特区の3区画に投資する =Lori/Legion Media撮影
マカオの“カジノ王”がオレグ・ドロズドフ氏と提携
9月6~7日に行われる極東投資会議で投資契約に署名が行われ、10月には株式が取得される。株式取得の詳細については、香港証券取引所のウェブサイトに関係者の話が掲載されているが、投資額は今のところ、沿海地方が伝えている額より少ない1億3000万ドル(約130億円)。
最近までドロズドフ氏が唯一の受益株主を務めていた有限責任会社「東部第一カジノ会社」が、沿海地方のカジノ活動ライセンスを保有している。
「オリエンタル・リージェント」の株式のうち、何氏の2社(凱升控および新濠国際発展の子会社であるニュー・クレセント)が51%、台湾のカジノ機器メーカー「伍豊 科技股份有限公司」が19%を取得し、ドロズドフ氏の会社「エレガント・シティ」が残りの30%を保有する。オリエンタル・リージェントとは、東部第一カ ジノ会社の株式の50%を保有する会社。
ゲーム機800に110室のホテル
何猷龍氏の父の何鴻燊氏は、もっとも裕福なマカオの住人で、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、その資産は20億ドル(2000億円)。カジノだけでなく、不動産、銀行、旅行、船舶、航空などの事業を手がける。
投資額は何氏の2社が6630万ドル(約66億3000万円)、伍豊科技が2470万ドル(約24億7000万円)、エレガント・シティが3900万ド ル(約39億円)。東部第一カジノ会社が、総額1億3000万ドルを、カジノ特区の1区画の建設費用にあてる。ゲーム機800機、VIPゲームテーブル25台、一般ゲームテーブル40台ほどが備えられたカジノと、110室のホテルが建設される計画だが、すでに主要な構造部分は建設済みであると、香港証券取引所のウェブサイトは伝えている。
カジノを運営するのは東部第一カジノ会社で、そのコミッションは収益の3%。何氏のニュー・クレセントはコンサルティングを行い、収益の3%をそのサービス料として受け取る。
さらに5億ドルの投資を検討
香港の新聞「英文虎報」は7月、凱升控が他にも5億ドル(約500億円)を投資することを考えていると伝えていた。投資先のカジノ施設には、300室の4つ星ホテルと、200室の5つ星ホテル、ゲーム機500機、VIPゲームテーブル100台、一般ゲームテーブル70台ができるという。このような他のプロジェクトで何氏のパートナーとなるのも、ドロズドフ氏の可能性が高い。東部第一カジノ会社の貸地には、他に2区画あるという。
沿海地方が発表した7億ドルのプロジェクトが実現すると、ロシアのカジノ事業では最大の投資となる。現在もっとも投資額が大きいのがカジノ特区「アゾフ・シティ」のプロジェクトで、シンガポールの投資会社「アダプタス」のロシアの現地法人が、160億ルーブル(約480億円)を投資する計画を立ててい る。
中国の顧客をターゲットに
何氏の海外展開では、まず中国の顧客を狙うため、ウラジオストクの立地優位性は明白であると、アメリカの経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は書いている。
沿海地方の行政も、外国人が訪れることを期待しているようだ。「カジノ特区『沿海』の地理的条件が、ここを特別な場所にしている。ヨーロッパ文化に触れ るという、アジアの客人のニーズに応えることができる。また人口の多い中国に近いことや、新濠国際発展が中国の顧客と長年仕事をしてきたことも強みになる」と沿海地方は伝えている。
ジャンケット・ツアーと呼ばれる、カジノ施設訪問を含めた娯楽プログラム(カジノ側が移動費用と滞在費用を支払う代わりに、利用者は一定金額で一定時間カジノで遊ぶことが義務づけられる)で、何氏が中国からの顧客を呼ぶことができると、ロシアのコンサルティング会社「オスカー・ヤード・キャピタル」の共同所有者であるユーリ・クラソフスキー氏は話す。
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