ユニクロがロシアで挽回を狙う

ユニクロのロシア市場への参入は、簡単にはいかなかった。=PhotoXPress撮影

ユニクロのロシア市場への参入は、簡単にはいかなかった。=PhotoXPress撮影

日本のアパレル大手「ユニクロ」が、ロシアで子供服を販売し、今年末までにモスクワで店舗数を2倍に増やす計画を立てている。ユニクロはロシアで競合他社に大きく遅れを取っており、一時的な需要減速の時期に新しい部門に参入しようとしていると専門家は指摘する。

鮮やかな色はユニクロの強み 

 ユニクロの子供服がモスクワの店頭に現れるのは、学校の新年度が始まる9月。関係者は、お手頃な価格を約束している。ロシアの寒冷な気候条件を考えれば、ベストからダウンコートまでの防寒服の需要が高まるだろうと、ロシアの金融会社「フィボ・グループ」のアナリスト、アンナ・ポポワ氏は話す。「鮮やかな色はユニクロの強み。日本のアパレルメーカーの人気はロシアで徐々に高まっているが、今のところ顧客は、外国製品をひんぱんに購入するネットユーザーに 限られている」。

 

2010年に初参入したが 

 ユニクロのロシア市場への参入は、簡単にはいかなかった。2010年4月に1号店がオープンした際には長蛇の列ができ、その盛況ぶりに一大計画も立てられた。だがふたを開けてみると、1年目は不振。税関の問題、そしてロシア人の色の好みをすぐに把握できなかったことによる、品ぞろえの問題があった。またパートナーとの関係悪化も著しく、ユニクロ3号店は開店後間もなく閉鎖され、賃貸人とは長期間裁判で争った。ユニクロ・ロシアの2012年の売上高は、 ファッション業界のコンサルティング会社「エスパー・グループ」の評価によると、前年より約1250万ドル(約12億5000万円)少ない、12%減。

 

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これまでの不振の原因は 

 「ユニクロは実績のない新しい商業施設と契約することには慎重だ。だが実績のある商業施設では、ユニクロが求める広さの店舗(1000平方メートル)を見つけるのは極めて難しい。人気の商業施設から撤退する店はないため、スペースが空くことはなく、また出店を目指す企業の”行列”も長い。こういった”行列”に並ばずに出店するには、非公式ルートを使うしかないが、日本の経営者の感覚では、このようなルートはあり得ない」と、エスパー・グループのダリヤ・ ヤデルナヤ社長はロシアNOWに話した。

 ユニクロのモスクワ店は現在、2店舗にとどまっている。だが今年、販売拡大を再開する決定を行った。9月末には3号店が、10月末には4号店が開業する。ユニクロの全世界の販売でロシアが占める割合は0.7%ほどと、エスパー・グループは試算している。ロシアに39店舗を保有する「エイチ・アンド・エ ム(H&M)」や、60店舗近く保有する「ザラ(Zara)」の場合、露市場が占める割合は平均5%。

 

ユニクロの慎重さは吉と出るか 

 ユニクロはロシアのアパレル市場で競合他社に大きく遅れを取っている。すべての大手アパレル・メーカーは金融危機前にロシア市場に参入していたが、ユニクロは2010年。どのメーカーもかなり以前から子供服の販売を始めているが、ユニクロはこれから始めようとしている。さらにライバルたちは地方への展開を勢い良く進めており、これ以上の地方拡大は自然な限界に近づいているとも言われている。ユニクロはまだモスクワ以外で1店舗も開店していない。

「『慎重さ』とは優れた方針。ただロシアでは、慎重さとは事業精神の不足を意味してしまう。成熟した市場では慎重な方針が評価されるが、ロシアのような成長中の市場ではもう少しの勢いとリスクを負うことへの覚悟、そしてさらなる競争心が求められる。他方で、ユニクロは、競合の失敗例を参考にしながら、力を温存し、将来的にすべての障害を回避することもできる」とヤデルナヤ社長。

 

中国製品が露子供服市場の3分の1を占める 

 ロシアの子供服部門は2011年から2012年にかけて、9.8%までの急速な伸びを示した。だが今年に入って小売が全体的に減速していることから、子供服の売り上げも勢いを落している。エスパー・グループの予測では、今年の子供服の年間平均販売成長率は2.2%程度にとどまる。ただし来年は、販売額ベースで11%増になる見込み。ロシアの投資分析会社「インヴェストカフェ」のイーゴリ・アルナウトフ氏は、2015年までの子供服部門の成長率を16%と予測。

 ロシアの子供服部門で約34%と、もっとも大きな割合を占めているのは、中国の製品だ。2位はEU諸国(29%)、3位はロシア(21%)。ただしこの統計は、直接的な製品輸出国のデータである。例えばザラの服は、モロッコ、バングラデシュ、ルーマニア、スペインで生産されているが、スペインの倉庫から ロシアに輸出されるため、EU諸国に数えられる。ロシアのアパレル・メーカー「セラ(Sela)」や「グロリア・ジーンズ(Gloria Jeans)」の製品は、中国で生産されてロシアに輸出されるため、中国製品として数えられている。