モスクワ初の電気自動車レース

7月14日、ロシア初の電気自動車エコレースが開催され、20台のエコカーが参戦した。=ダリア・カリキナ撮影

7月14日、ロシア初の電気自動車エコレースが開催され、20台のエコカーが参戦した。=ダリア・カリキナ撮影

エコカーは値が張り、充電ステーションや国家による支援が不足しているため、今のところ、人気はいま一つ。はたして、世界第二位の石油大国であるロシアの首都にエコカーは必要だろうか。

「採算取れず」 

 7月22日付の新聞「コメルサント」によれば、国営会社「ロシア郵便」は、12台の電気自動車のリースに関するルノー社との契約を解消した。1590万ルーブル(約4770万円)のこの契約は、最近の同社の幹部の交替以前に締結されたが、その後、見直されることになった。しかも、当初、「ロシア郵便」は、ソチオリンピック用に100台まとめて購入する意向だったが、社内でのテストの後、採算が取れないことが判明した。

 

714日にロシア初の電気自動車エコレース 

 とはいえ、ロシアにおけるエコカーの人気は、緩やかながら高まりつつある。たとえば、7月14日、ロシア初の電気自動車エコレースが開催され、20台のエコカーが参戦した。

 このエコレースの主催団体の一つ「エコモータース」社のワシリー・パナーヴィツさんは、同社がすでに五年にわたり国内における電気自動車の普及に努めているものの、国家による支援のないことが主なネックになっている点を指摘し、こう述べる。

 「電気自動車に乗りましょうとテレビで宣伝し、自分たちでEVに乗ればいいのです。それから、関税を撤廃すれば、価格は一気に3~4割さがります」。

 

「価格とサイズが問題」 

 モスクワでのエコレースには、エストリマ・ビロ、三菱i-MiEV(アイミーブ)、日産リーフ、シボレー・ボルトなどの電気自動車が出場し、観客は、スタート前の充電の様子を目にし、試しに運転席に座り、所有者と言葉を交わすことができたが、やはり、同じサイズと性能をそなえたガソリン車と比べてかなり高い価格に誰もが驚いていた。 

 エコレースに参加したウラジーミル・ソコロフさんは、ロシアでは電気自動車が一台2百万ルーブル(約6百万円)ほどする点を指摘し、こう述べた。

 「ビジネスクラスの自動車を好む私の多くの友人や知人には今のところそうした車を買う気はありません。60万~90万ルーブル(約180万~270万円)だったら飛びつくでしょうが…。それからサイズの問題もありますね。メルセデス・ベンツに慣れた人はなかなか電気自動車へ移れないでしょう」。

 

電気自動車の駐車は無料に 

 国家も、そうした目玉が飛び出るほどの価格の埋め合わせに腐心しており、たとえば、モスクワ中心部では、わりと最近一時間1,4ドル(50ルーブル)と有料になった駐車が、8月1日から電気自動車の場合は無料になる。

 世界では、すでに、わずか20分間で電気自動車のバッテリーを50%充電できる強力なスタンドが利用されているが、モスクワには、今のところ、車一台の充電に6~8時間かかるスタンドしかない。ロシアの首都にはそうしたスタンドが40基あるが、年末までにその数は100基に増える見込みだ。

 

「電気自動車用充電スタンドが足りない!」

 ワシリー・パナーヴィツさんは、特別のスタンドを新たに設ける必要はないとみなし、こう述べる。

 「どんなエコカーも普通の220ボルトの装置で充電できます。必要なのは公共の場所にそうしたスタンドを設けることです。レストラン、クラブ、ショッピングセンター、オフィスで、マイカーの充電ができるようにしなくては…」。

 公式のデータによれば、現在、電気自動車は、モスクワにはせいぜい200台、ロシア全体でも500台ほどしかなく、こうした珍しい車は、当然、人目を惹く。エコカーを運転するドミトリー・ニキーフォロフさんは、こう語る。「よそのドライバーがよく私を呼びとめて車種を訊ねますが、その環境への優しさを知ると目を瞠ります」。

 一回の充電で走れる距離は、平均で一日150キロメートル。ウラジーミルさんも、ドミトリーさんも、まだ遠出をしたことはないが、モスクワ市内を走るには十分と口を揃える。