クリル諸島の大陸棚に、87兆立方メートルにのぼるメタンハイドレートが埋蔵されている可能性がある =ロシア通信撮影
ロシア科学アガデミー極東地質学研究所は国営石油会社「ロスネフチ」に対して、クリル諸島近海に眠るガスハイドレートの採掘の可能性を開発するよう提案した。ロスネフチに近い関係筋が、これを「コメルサント」紙に語った。ロスネフチは「当社はガスハイドレートの開発に関する提案をまだ受けていない」と伝 えているが、関係筋はこれとは異なるコメントをしている。
ガスハイドレートは高水圧の深海や、永久凍土の条件のもとで生成される。国営ガス会社「ガスプロム」は、2000年代初めにガスハイドレートに関心を示 し、子会社の「全ロシア天然ガス・ガス技術研究所(VNIIGAZ)」が研究を行っている。
「ガスプロムの真の脅威はシェール・ガスではなくガスハイドレート」
ガスハイドレートについては今春、燃料・エネルギー複合体大統 領委員会で話し合われた。アレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相はこの時、世界燃料市場でガスプロムの真の脅威となるのはシェール・ガスではなく、ガス ハイドレートだと話していた。エネルギー省はまた、ガスハイドレートの採掘が現時点で困難かつ高額でありすぎるため、2020年以前の市場参入はない可能 性が高いとしていた。
ガスハイドレートの採掘の可能性について現在調査を進めているのは、日本、インド、アメリカで、中国と韓国もこの分野の計画を発表している。日本の石油会社からなるコンソーシアムは3月、太平洋の海底に埋蔵されているガスハイドレートから天然ガスを取り出す生産試験を初めて成功させ、開発を始めた。
極東地質学研究所がロスネフチに対し開発を提案
極東地質学研究所はロスネフチに対し、幌筵(パラムシル)区域の大陸棚の海底より約200メートル下で、開発を始めるよう提案した。研究者は、「日本側が開発している場所よりも調査しやすい場所に、有望な種類の炭化水素が埋蔵されている」ため、ロスネフチとの提携にはアジアの会社が興味を示すであろうと考えている。同研究所には、ロスネフチの地質調査を支援する用意がある。
天然資源・環境省の関係筋によると、ロスネフチからはまだ、「ガスハイドレートの研究問題を検討してほしい」といった依頼はきていないという。埋蔵場所 が大陸棚であることから、調査ライセンスは政府が付与しなければならないが、「今のところいかなる話もなされていない」。
*記事全文(露語)
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。