ロシアにおける韓国ブランド

韓国ブランドはずっと昔からロシアで人気があったわけではなく、ここ25年でイメージが大きく変化した。=タス通信撮影

韓国ブランドはずっと昔からロシアで人気があったわけではなく、ここ25年でイメージが大きく変化した。=タス通信撮影

韓国ブランドは近年ロシアの店頭を独占してきたが、今後は中国という新たなライバルと争わなければいけなくなる。

 「韓国製品はロシアで非常に人気が高く、今やサムスン、LGの家電製品や電子機器はロシアのほぼすべての家庭にあると言えるほどだ」と、元駐韓国特命全権大使で、現在ロシア経済・国家行政アカデミー・APECロシア研究センターの副所長を務める、グレブ・イワシェンツォフ氏は話す。

 韓国車もロシアでは人気があり、2013年第一四半期自動車販売台数ランキングでキアは3位、ヒュンダイは4位だった。

 

 最近25年でイメージが一変 

 韓国ブランドはずっと昔からロシアで人気があったわけではなく、ここ25年でイメージが大きく変化した。「昔は格安が売りだったが、活発な宣伝活動を行 い、ブランドのステータスを築いて、今は他のブランドとほぼ同じ価格水準になっている。テレビや電話は終始このような困難な道を歩まざるを得なかったが、自動車は それほどでもなく、一般車部門ですぐに地位を築き、高級車部門でもシェアを獲得しつつある」とロシアの国際金融ホールディング、フィボ・グループの上級ア ナリスト、アナトーリ・ヴォロニン氏は話す。

 ソ連時代末期には韓国ブランドはあまり評価されておらず、一部のマニアが知っている程度だった。テレビや冷蔵庫の購入またはバーター取引の権利を得たロ シアの会社は、日本、ドイツ、アメリカなどの製品調達を目指した。当時これらは憧れのブランドだったのだ。「当時ソニーのトリニトロン・テレビや日立のビ デオ・プレーヤーを持っている人はお金持ちと考えられていたため、まわりの人はうらやみ、自分たちも持とうとしていた。その後しばらくしてから店頭にサムスンの商品が現れるようになり、その後LGも出てきた。最初は韓国製品に皆懐疑的だった」と、当時の状況を知る実業家のセルゲイさんは語る。

 

 今や家電製品や電子機器のトップに

 現在は状況がまったく違う。韓国のメーカーは日本、ドイツ、アメリカのメーカーと対等に競争しようと努めており、電化製品などの一部の部門では、それらのメーカーをはるかにしのいでいる。また他の部門でも、構造の多様化や保証サービスのパッケージ拡大などで販売を伸ばしている。好きなだけお金を使えない国民が大部分であるロシアのような国では、依然として技術的な優位性よりも製品価格が重要だ。

 「ロシア人はブランドだからといって大目に見ることはなくなっている。つまり、ブランド・イメージだけで技術的により遅れているような日本製品を買うつもりはないということだ。そのため、ソニーはブランドのみに頼らず、サムスンやLGよりも品質が優れていて、競争力のあるテレビやタブレットのモデルを 提案しなければならなくなっている」とヴォロニン氏。

 「コストパフォーマンスの点で、韓国の自動車はもはやヨーロッパの自動車に劣っていない。ヒュンダイとキアのロシアの販売台数を見れば明らかだ。これ らは、高級車に進化しつつある一般価格の自動車だ」と、ロシアのFX投資会社AForexのセルゲイ・コフジャコフ氏は話す。

 

 イーゴリ・ザレンボ撮影/ロシア通信

 高級車市場にも参入へ 

 ここ1年から1年半、韓国自動車は高級車市場に参入しようと努力していることがうかがえる。キアはクオリスというビジネス・クラスのセダンを、ヒュンダイはエクウスというセダンを市場に投入した。ロシアの高級車市場では、ドイツのメルセデスベンツ、BMW、アウディ、日本のレクサスがすでに確固たる地位を確立しているため、参入は容易ではない。韓国の自動車メーカーはマーケティングにおいて、日本が戦後進んだ道を後追いしている。日本ではトヨタが最初に生まれ、次にレクサスが生まれた。ヒュンダイも安い自動車とともに、400万ルーブル(約1300万円)の高級車を販売しているのだ。サムスンは安い電話の販売から始めたが、今や高級部門のトップに立ち、アップルのシェアを奪っている。

 コンピュータ市場でも韓国勢は勢いを増し、ソニーを追いやった。「韓国の成功の秘訣は、マーケティングに多額の資金を投入し、製品ラインと顧客サービス の幅を最大限に拡大すること」とイワシェンツォフ氏は説明する。以前は日本とアメリカが主なイノベーターだったが、現在は携帯電話やテレビの技術に韓国の 影響が垣間見えるという。韓国製品は質が良く、丈夫で信頼性も高いため、ステータスでは中国製品よりもはるかに上を行くが、日本、ドイツ、アメリカにはや はり劣っているという。

 

 中国との覇者交代の日 

 このような状況下で、ロシア市場でも世界市場でも、韓国製品は新たな試練の時期に突入している。世界的なビジネス”戦争”の第二弾が始まりつつあり、韓 国企業は日本企業の状況に置かれ、中国のメーカーに圧迫されているのだ。「原価と販売価格の差が大きいため、機能と品質をあまり変えることなくダンピング できてしまうことがその理由だ」とヴォロニン氏。

 

 韓国製品のほとんどが中間価格帯またはそれより少し上に位置しており、中国製品とロシア製品がこの地位を下支えしている。韓国のコウォンのプレーヤーな ど、高価格帯に属する製品は音楽プレーヤー部門でブランドになっており、サムスンもスマートフォンを中心とする携帯電話部門でブランドになっている。一方 で韓国のインスタントラーメンのメーカー、ドシラクは、貧乏人向けの安くて健康に悪い食べ物と同義語になっている。それでも実際にはドシラク・ラーメンは 多くの人がこっそりと食べているし、ラーメン自体は有害ではない。ロシア人の多くが慣れない香辛料の味に否定的なだけだ。

 

 こうやって韓国製品がロシア人の生活のさまざまな場面に登場している中、中国企業が発展し、品質を高めている。中間価格帯の韓国ブランドは、正に中国企業が進もうとしている道の先にあるのだ。今後7~10年で、中国メーカーが韓国の座を奪うだろう。