ガスプロム分割案が浮上

=ロイター通信撮影

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「シェール革命」に対抗するため、ガスプロムが輸送会社と採掘会社の2社に分割される可能性がある。クレムリンでの会議には、プーチン大統領をはじめとして、独立系天然 ガス生産・販売会社「ノバテク」や国営石油会社「ロスネフチ」も積極的に参加している。

 ウラジーミル・プーチン大統領は昨年10月、ロシア対外貿易銀行(VTB)が主催した会議に出席し、ヨーロッパの不況を背景に、ロシアは安定した拠り所 に見えると外国人投資家に話した。この時、国営天然ガス企業「ガスプロム」をヨーロッパのように部門で分割すべきではない、との考えを明らかにしていた。

 だが、ガスプロムをめぐる高官の議論の内容は半年で変化した。

 政府関係者や議論の参加者によると、ガスプロムに関する話は完全に非公式なものだという。この議論に加わっているのは、プーチン大統領、また大統領の経済問題の補佐役であるエリヴィラ・ナビウリナ前経済発展貿易相、国営石油会社「ロスネフチ」のイーゴリ・セチン社長、ガスプロムのアレクセイ・ミレル社長、また独立系天然 ガス生産・販売会社「ノバテク」の幹部と、その大株主であるレオニド・ミヘリソン氏(2013年フォーブス誌ロシア部門で3位)およびゲンナディー・ティ ムチェンコ氏(同ランキングで9位)だ。

 

輸送と採掘の独立法人に2分割 

 ガスプロムを輸送と採掘の事業に分割し、独立した法人を2社設立するというのが、現在もっとも活発に議論されている問題だ。ガスプロムを分割するという構想は決して新しいものではない。ソ連石油ガス工業省が1989年にガスプロムに改組された時から続いている。

 政府が再検討を始めた背景には、アメリカのシェール革命がある。ミレル社長は2年前、この革命をハリウッドの特殊効果と呼んでいた。政府に近い消息筋は こう話す。「だが昨年、詳細な分析が行われた。これはハリウッドのジョークではなく、真剣な挑戦だということが判明した」。

 当初アメリカ向けとされていた 中東の液化天然ガスが、ヨーロッパの現物市場にまわったため、ヨーロッパのガス価格は下落した。アメリカの調査機関「ケンブリッジ・エネルギー研究所」の ダニエル・ヤーギン会長は、中期的なシェール革命が世界的なガス市場を生み、その市場ではガス価格が原油と連動しないと述べている。これはヨーロッパにお けるガスプロムの“礎石”の破壊を意味する。ガス価格と原油価格の関係は、長期契約の数式で決まっているからだ。

 ただ、ガスプロムの分割案が出るようになったのは、このような国外の動きだけでなく、ロスネフチやノバテクといった大手の競合企業が国内市場に現れたことも要因になっている。これらの企業が、ガスプロムの天然ガス輸出独占権を揺るがそうとしているのだ。

 

「シェール革命をうかうかと見過ごした」 

 独占権の見直しについては、今後数ヶ月で決定されるだろ う。アレクサンドル・ノバク・エネルギー相は、ロシア政府が他の企業に輸出を認める可能性があると話していた。ただしそのような決定は、ヨーロッパ市場で ロシア企業同士の競争を引き起こさないために、アジア市場に限定される可能性もある。

 ロスネフチとノバテクは、将来的な幹線パイプラインの使用も視野に入れているため、ガスプロムの分割案は2社の利益にかなう。

 分割案の実現はまだ決定にいたらないが、プーチン大統領がいかなる決断をしようとも、ガスプロムの改変は他のグループが行うことになると、議論参加者は 確信を持っている。ミレル社長の契約は2016年が公式期限だが、ガスプロムを率いてすでに10年が経過している。「ミレル社長の功績を評価したとして も、10年というのは非常に長いし、シェール革命をうかうかと見過ごしてしまった」と関係筋は語る。


*記事全文(露語)http://www.kommersant.ru/doc/2167170