最大の成功特区

デンマークのロックウール・インターナショナル社社長、エルコ・ヴァン・ヒール氏、ロシアのナビウリナ前経済発展相、デンマークのピア・オルセン・デュア貿易・投資相、タタルスタンのルスタム・ミンニハノフ大統領。タルスタン共和国の経済特区アラブガにて。=マクシム・ボゴヅヴィード撮影/ロシア通信

デンマークのロックウール・インターナショナル社社長、エルコ・ヴァン・ヒール氏、ロシアのナビウリナ前経済発展相、デンマークのピア・オルセン・デュア貿易・投資相、タタルスタンのルスタム・ミンニハノフ大統領。タルスタン共和国の経済特区アラブガにて。=マクシム・ボゴヅヴィード撮影/ロシア通信

税以外にも優遇措置

 アラブガは税優遇措置をとっており、最初の5年間は法人税が2%、次の5年間が7%、その後は15・5%となる。特区以外の法人税は20%だ。固定資産税はゼロ。企業に対しては「グリーン・フィールド(必要なライフラインと敷地)」が提供される。投資家は、国家の保護を受ける優良案件として、事業を実現していくことができる。ガス・電気への接続は無料。土地賃貸料は1平方㍍当たりわずか3ルーブル(約8円)という安さで、10ヘクタールでも年間1万ドル(約95万円)にしかならない。

 タタールスタン共和国の首都カザンの東方200キロ地点に、経済特区アラブガがある。

 2005年12月末に設置されて以来、ロシアの経済特区で最も成功を収めており、昨年半ばまでに約10億ドル(約947億円)の民間投資を集めることができた。3月半ばには、オーストリアの化学工業メーカー「ガブリエル・ケミー」社と、建材を製造する露企業「ベルティカリ」社が、新たに参加した。

 

地元発展に貢献

 タタルスタンは、ロシアの中でも重要な地域の一つ。アラブガはその経済発展のために創設された。その監視委員会の委員長は、同共和国のミンニハノフ大統領自らが務めている。大統領は、この経済特区が創られた当時、共和国首相だった。

 アラブガには、ロシアのすべての経済特区の生産の71%(595億ルーブル=約1836億円)、税の控除額の59%が集中している。

 アラブガは33社の参加で創設され、最初の企業は露自動車メーカー「セベルスタリ・アフト」(現フォード・ソラーズ・エラブガ)だった。同社は露市場向けに新世代の「フォード・クーガー」を生産しており、新車販売台数で欧州2位を占めた。

 他の創設期からの企業にはエア・リキード社、ロックウール社、 ハイアット・グループなどの大企業があり、この経済特区内でのプロジェクトへの投資総額は25億㌦を超えている。

 

 地の利の良さ

 経済特区アラブガ創設の決め手となったのは地の利の良さだと、ファイボグループの上級アナリスト、ボローニン氏は考える。高い技能を持つスタッフ、利用可能な既存の生産施設、良好な交通インフラなどの好条件が重なり、鉄道、自動車道路、ライフラインなどがそのまま使えた。これらを背景に、経済特区をうまく発展させていくことができた。

インフォグラフィック

ロシアの経済特区

 大統領府付属ロシア国民経済アカデミー・国家経営学部・国家経済統制講座主任のクリマノフ氏も「アラブガにはすべてが集中している。地理的、経済的にもロケーションがいい。タタールスタン政府がビジネス環境を保障している」と強調する。

 

 自由貿易区

 アラブガは自由貿易区でもあり、関税と付加価値税を払わずに、外国製品を持ち込み、使用することができる。こうした優遇措置で投資が促進され、昨年8月末で、投資総額は10億1000万㌦(約966億円)となった。

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