写真提供:Promiseup.do
「みんなが約束を守ればもっと楽なのに」
イワン・コチェトフ氏は1年前の冬の夜、大変な一日の仕事を終え、同僚と会話をしていた。「みんなが約束を守れば、生活はずっと楽になるのに。時間も節約できるし、イライラしなくて済むじゃない」と同僚の女性は言った。
活動的な性格のコチェトフ氏は、皆がどうやって約束をし、それを守っているのかを思わず考えた。いや、守っているのではなく、破っているのだ。そして約束の情報とそれを守ることを管理する、簡単なソフトを思いついた。
友人・知人26人に1週間、30分おきに通知しながら自分の約束状況を入力してもらったところ、自分自身と他の人に平均約40件の約束ごとをしていることがわかった。そのうち実行されたのは3分の1にとどまった。問題があることは明らかだ。
世界的な罰金システムを
コチェトフ氏は友人と一緒に、約束を破ったら破った相手にお金を支払うという、簡単な解決手段を思いついた。このモデルの有効性を調べるために、守らなかった約束1件につき、10ドルの罰金を支払うというシステムを会社で実験してみた。
思ったよりも効果があったことから、これを世界レベルに高められるよう、企業「プロミス・アップ(Promise Up)」を設立した。企業方針とビジネス・モデルが昨年3月に打ちだされるとすぐに、ロシアのベンチャー基金「TDVFI」がプロジェクトに関心を示し、 5月には15万ドル(約1500万円)を利率25%で受け取り、シードラウンドを終えた。このプロジェクトは現在、60万ドル(約6000万円)と評価さ れている。
外国人の投資家も関心を示した。「アメリカのベンチャー基金の無限責任出資家が、『ロシア人が世界に対してどう自分の約束を守るかを、まず私が見てみるよ』と言った」と笑顔でコチェトフ氏は話す。
ゲーム感覚で約束の履行状況をチェック
現在従業員は3人で、開発もしている。また、ロシアのマーケティング代理店「RZLTTアクセラレーター」のチームが、製品開発とアメリカ市場およびロシア市場への投入を担当し、プロミス・アップを支えている。
写真提供:Promiseup.do |
ユーザーはこのアプリに登録して1000アポロル(内部の仮想通貨)を受け取り、それを使って約束ができるようになる。自分から約束をしたり、約束を受けたり、相手に約束を提案したりするが、どの約束にも実行期限があって代金が設定される。期日が訪れるとアプリは「これを実行しましたか?」との質問を ユーザーに投げかけ、約束が守られたら、負けた方(代金をユーザーに提案した人)から勝った方へ代金が移る仕組みになっている。約束が破られたら、約束を した人から代金が差し引かれ、さらに「敗退税」1アポラルが、プロジェクト用に差し引かれる。
約束をあまり守らない人の手元からは、どんどんアポロルが消えていくが、新たなアポロルは、実際のお金で購入しなければいけなくなる。
約束を守るとご褒美の商品も
ユーザーが約束を破ったのに、アプリに実行したと入力したらどうなるのだろうか。「人間の性格まで変えることはできないから、嘘をつく人はいるだろう。 ただ、プロミス・アップの約束は、連絡が密な人の間で行われるから、嘘を入力するとばれる可能性が高い」とコチェトフ氏は説明する。
今後はユーザーが約束でかせいだアポロルを使って、さまざまな商品を買えるような、「アップショップ(Upshop)」というネットショップを開設する計画を立てている。
これでしっかりと約束は守れるようになるだろうか。
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