=タス通信撮影
ロスネフチは、イギリスの大手石油会社「BP」が保有するTNK-BPの株式50%に、166億5000万ドル(約1兆5700億円)を支払い、さらにロスネフチの株式12.84%をBPに譲渡した(ロスネフチへのBPの出資比率は19.75%)。また、ロシアのコンソーシアム「AAR」(「アルファ・グループ(Al'fa-Grupp)」、「アクセス・インダストリーズ(Access Industries)」、「レノヴァ(Renova)」)が保有する残りの株式50%には、277億3000万ドル(約2兆6200億円)を支払った。このようにして、同社は計443億8000万ドル(約4兆2000億円)を費やし、3月21日に取引を完了した。
英露の株式折半で10年前に創設
BPとAARの合弁企業であるTNK-BPの創設については、2003年6月にイギリス・ロンドンで大々的に発表されていた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とイギリスのトニー・ブレア首相が同席し、アルファ・グループの共同経営者であるミハイル・フリードマン氏とBPの最高経営責任者であるジョン・ブラウン卿が契約書に署名を行った。合弁会社が活動を始めたのは、その2ヶ月後のことだ。
10周年記念は他の所有者のもとで祝われることになる。ロスネフチはロシアとウクライナの独占禁止局や欧州委員会など、すべての規制機関から承認を得た。今回の株式100%の取得については、昨年末に事前契約が交わされていた。
日産 世界最大の400万バレルに
ロスネフチが伝えたところによると、この取引により、新たな合同会社は世界最大となる、1日400万バレル(年間2億600万バレル)の石油を採掘することになるという。また、備蓄量は280億バレルだという。
「バンクオブアメリカ・メリルリンチ(Bank of America Merrill Lynch)」は、2013年度の収入が1602億ドル(約15兆1000億円)、EBITDAが329億ドル(約3兆1000億円)になると予測している。
ゲルマン・ハン業務最高責任者などのTNK-BPの主要幹部は、今後退任する。新たにTNK-BPを率いるのは、今回の取引で指揮を取っていたロスネフチのエドゥアルド・フダイナトフ第一副社長だ。
TNK-BPの運命は?
今回の取引により、TNK-BP自体が消える可能性がある。だが、TNK-BPの上場子会社「TNK-BPホールディング(TNK-BP Holding)」(約5%を少数株主、残りをTNK-BPが保有)を吸収合併せずに、新たな合同会社を経営していくのは難しくなると、ロシアの投資会社「オトクルィチエ・カピタラ(Otkrytie Kapitala)」分析部のアレクサンドル・ブルガンスキー部長は警告する。
ロスネフチがTNK-BPホールディングを子会社化した場合、合同会社の採掘量の40%ほどを占め、毎年100億ドル(約9500億円)ほどの操業キャッシュフローを得られることになり、ロスネフチ最大の子会社になる。また、TNK-BPホールディングの残高はすでに40億ドル(約3800億円)ほどになるだろうと、ブルガンスキー部長は話す。これらは配当金として支払可能だ。だが、将来的には統一株に移行した方が良いとブルガンスキー部長。ロスネフチにとってこれは難しいことではない。ユコス(Yukos)の旧資産は同社の一部となっている。
実は“お荷物”か
だが、今回の取引は総じて、ロスネフチのより重要な指標すべてを悪化させるだろう。TNK-BPの鉱床のほとんどが比較的枯渇した状態にあるため、ロスネフチの採掘支出は1バレルあたり2.9ドル(約274円)から3.7ドル(約349円)、精製支出は3.04ドル(約287円)から3.17ドル(約299円)に増加すると、ロシアの金融会社「ソリッド(Solid)」のアナリスト、ドミトリー・ルカショフ氏は話す。合同会社の石油精製比率は48.5%から45%に落ちる(TNK-BPのこの指標はわずか40.1%だった)。
ただ、主なシナジー効果として、TNK-BPの管理・運営費が低下することが見込まれるという。例えば、ロシアの国営天然ガス企業「ガスプロム(Gazprom)」が、同じくロシアの石油会社「シブネフチ(Sibneft)」を買収した時、これらの費用はほぼ2分の1に減少している(2005年の18億3000万ドル≒1700億円から、2008年の10億5000万ドル≒990億円)。
*記事全文(露語)
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