高濃度ヘリウム

=Alamy/LegionMedia撮影

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化学工業会社・マチソン・トライガスは国営天然ガス企業・ガスプロムから高精度生産に必要な希ガスを調達し、代わりに技術を提供する。

 天然ガス輸出独占権を保有するガスプロムは世界市場向けのヘリウムガス販売に本格的に乗り出した。

 高濃度のヘリウムガスは、東シベリアのガス田に埋蔵されている。

 ガスプロムは昨年12月、ヘリウムガスの採掘、保管、海外市場への販売領域における提携の覚書をドイツの化学工業会社・リンデ、日本のマチソン・トライガスの2社と交わした。

 マチソン・トライガスは日本の産業ガス会社・大陽日酸の100%子会社で本社はアメリカにある。大陽日酸は産業用ガス市場で世界5位の大手だ。

 

軽量・無色無臭のヘリウム

ヘリウムは自然界で最軽量の水素に次ぐ軽い気体だ。
 だが、水素とは異なり、不活性気体で、燃焼せず、爆発せず、無色透明かつ無味無臭だ。
 ヘリウムは従来型の天然ガスよりも10倍高額で、ガス田の含量は約1%である。
 ロシア東部のガス田のヘリウム含量は0,22%強といった世界の含量よりはるかに多く、コビクタ・ガス田で0,45%、チャヤンダ・ガス田で0,8%弱となっている。
 まだ採掘の準備は始まったばかりだが、2020~2030年には東シベリアから年間500~600億立方㍍の天然ガス、1~2億立方㍍のヘリウムガスが輸出される見込みである。

マチソン・トライガスは覚書に従い、ガスプロムの戦略的パートナーとして、プロジェクトに応じた大量のヘリウムガスの受け取り手となるだけでなく、価値ある情報やヘリウムガス分野の実績を共有するとガスプロムは伝えている。

 

 両社は中国、日本、その他のアジア諸国、さらにアメリカの市場にヘリウムガスを販売していく考えだ。

 現在、世界では1億7500万立方㍍のヘリウムが採掘されており、米国(年間1億4000立方㍍)、アルジェリア(同1600立方㍍)、ロシア(同600立方㍍)の順となっている。

 世界のヘリウム埋蔵量はまだ456億立方㍍ある。

 世界のヘリウム生産量は2030年までに2億1300万~2億3800万立方㍍に達し、ロシアの世界販売市場に占める割合が現在の2%から40%以上になるという。

 その採掘、保管、販売を支援するのがリンデとマチソン・トライガスというわけだ。

 ただ専門家は、ロシアが価格崩壊を招き、世界のヘリウム市場を弱体化させる危険があると考える。

 

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 科学生産合同体・ゲリイマシュの最高責任者であるワジム・ウドゥト氏は「米国はヘリウムの需要が低い間、それを備蓄し、必要な時に供給した。特に月飛行の際に多く使用した。米国のようなやり方を採用すべきだろう。というのも、近い将来、販売可能量よりも多くのヘリウムを生産することになるからだ」と語った。

 一方で、ヘリウムを不足させることはロシアにとって得策ではないという。ロシア科学アカデミー石油・ガス研究所の科学副所長、クリストフ・ヤクブソン氏は「2050年までヘリウムガスの需要は増加を続け、その後減少すると考えられている」と述べている。