ソ連作家コンビとロシアを旅する

ルチア・ベリネッロ=写真提供:個人アーカイブ

ルチア・ベリネッロ=写真提供:個人アーカイブ

ロシアNOWサブエディターのルチア・ベリネッロが、彼女のお気に入りの本にみられるソビエトの風刺やユーモアについて語る。

人混みの中で本を読んでいるときに声を上げて笑うことは滅多にない。『12脚の椅子』(イリヤ・イリフ、エフゲニー・ペトロフ共著)は、読者を圧倒する機知に富んでおり、ほほ笑みと爆笑を引き出す力を秘めている。

 この小説は、オデッサ出身の2人の作家による共作で、1928年に出版された。ソビエト時代の社会を鋭く風刺したもので、日常生活の風変わりな描写と厳しい批評が特徴だ。

「2人の作家による共作だからといって、執筆が2倍簡単になるわけではありません。実際には、その作業は10倍難しくなります」

 

抱腹絶倒のピカレスク 

 イリフの死後、ペトロ フはこのように認めた。小説の単語と文のひとつひとつが、共同作業の結果なのだ。彼らの手やインク壺は、一つになった創造的知性の延長と化した。それ はあまりにも統合されたものであったため、2人の作家は皮肉にも、自らを2つの姓が組み合わさった、イリフ=ペトロフという名前の1人の作家であると見な すようになった。

 この小説は、ロシア国外ではほとんど知られていないが、 読者を、計り知れないほど貴重な宝物を隠している12脚の椅子を探すための旅に連れ出す。この本の大胆な主人公とともにロシア各地をめぐる旅をしながら、 読者は悪漢どもや、滑稽な人々や、時には抱腹絶倒の人物たちに出会う。

 こうして読者はカフカースからクリミア、モスクワからヴォルガ川まで、神秘に満ちたロ シアの各地を旅する。主人公たちと共に私たちは、ソビエト的な雰囲気をそのままに再現し、皮肉がちょっぴり混じった、色彩豊かなモザイク的世界へと引き込 まれていくのだ。