チェリャビンスクに外国人旅行者がやってくる

=マラト・アフテトバレエフ撮影(marateaman.livejournal.com)

=マラト・アフテトバレエフ撮影(marateaman.livejournal.com)

隕石の欠片が発見されたチェバルクリ湖に、外国人旅行客の関心が集まっている。例えば今夏には、30人の日本人の団体旅行が計画されている。この人気にあやかろうとしているチェリャビンスクの旅行代理店もあるが、チェリャビンスク州が隕石落下場所を大規模な観光地にするのは、いくつかの理由で難しそうだ。

 現地旅行代理店「アクベスト・トゥル」のマリーナ・アレクセーエワ社長によると、チェリャビンスクの旅行代理店には、外国人から、チェバルクリ湖の隕石落下場所を見学するツアーを企画してほしいとの連絡が入るという。

 

日本から30人の団体ツアー 

 「話題性が高いので、隕石落下場所の観光プログラムをつくった。こういった連絡は1人やペアの個人的なものだが、日本の人は30人という団体で、今夏こちらに来て、チェバルクリ湖で泳ぎたいというので驚いた」。

 チェバルクリ湖ツアーを自分たちで企画する、事業意欲盛んなチェリャビンスク住民もいる。ツアーはホテル代を除いて5000ルーブル(約1万5000円)だ。ここには通訳サービスと空港出迎えサービスも含まれていると、ツアー企画者のイリヤさんは話す。

 「当社ではこのような湖のツアーはもっと安く、100ユーロ(約1万2000円)になっている。チェリャビンスクのホテルやチェバルクリ湖への往復、移動中の食事といったサービスをする用意がある」とアレクセーエワ社長。隕石は旅行客をウラル地方に引き寄せる磁石のようだと話す。

 「当社が外国人旅行客の受け入れについて考える余地はあまりない。いかんせんモスクワ、サンクトペテルブルク、『黄金の環』といった観光のメッカにはかなわないので。外国の人はチェリャビンスクにも見るものがあるということはわかっているものの、ロシアの奥地に行くということを怖がってしまう」。

 

せめてクレーターがあれば 

 隕石落下場所や、ウラル地方の見どころすべてを、外国人に見せられる時が来たのだ。

 「隕石落下場所は観光の核となり、そこに外国人の希望に応じて、他の観光メニューを加えられる。環境災害があったカラバシュ市を見たい人、ロシアの村の日常生活にどっぷりとつかって、数日間暮らしたい人などがいる。ズラトウスト市にはおもしろい武器工場があるし、チェリャビンスク市ではウラル地方の歴史観光が行われている」とアレクセーエワ社長。

 ただ、旅行客が大量に押し寄せるとは考えていない。「見ても臨場感が十分ではないと思う。今は冬で湖に氷がはっているから、ぽっかりとあいた穴を見ることができるけれど、春になれば氷はとけてしまう。温かくなっても案内は続けるし、このできごとに対する自分たちの印象をわかちあいたい。でも一目見てわかるような落下の形跡はない。地上に大きな穴でもあけば、誘致は簡単なのだけど」。

 

復興作業でてんてこ舞いの州政府 

 チェリャビンスク州政府が落下の形跡を残したり、記念建造物をつくったりしようと思えば、それは可能なはずだ。だが州政府は現在、旅行ビジネスどころではない。「隕石落下の復興作業でてんてこ舞いの状態だ。多数のビルや家屋が、窓ガラスの設置、細々した修復、廃棄物処理などを依頼してきている。そのためチェリャビンスク州は、隕石落下に関連する記念の何かを州内につくるという問題について、打ち合わせを一切できていない。現在は旅行ビジネスについて考える余裕がない」と、チェリャビンスク州知事の報道担当、スヴェトラーナ・ドロニナ氏は話す。

 

ダーク・ツーリズム 

 環境災害地、科学技術災害地、ゴースト・タウン、自然災害地、たくさんの犠牲者がでた場所などを見学する、「ダーク・ツーリズム」というものが存在するのも確かだ。そのようなツーリズムには、おおげさな受け入れ準備はいらない。

 チェルノブイリはいまだに観光を行っており、見学料は1日で100~150ドルになっている。放置された村、プリピャチのゴースト・タウン、チェルノブイリ原発事故の処理作業者をたたえるモニュメント、原子炉の4号炉を覆った石棺などが見学コースだ。

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