潔白なトップアスリート4人

エレーナ・イシンバエワ=

エレーナ・イシンバエワ=

ロイター通信
 個人資格で五輪旗の下でリオ五輪に出場できれば、と期待しているロシアの陸上選手もいるが、全員にその意向があるわけではない。

 国際陸上競技連盟(IAAF)理事会は17日、ドーピング違反の発覚でロシア代表に2015年11月に課した資格停止処分を、そのまま継続する決定を行った。

 禁止薬物の使用を疑われたことのない選手も含めたロシアの陸上選手全員が、すでに8ヶ月、国際競技のない生活を送っている。そして8月5日に始まる2016年リオデジャネイロ夏季五輪にも出場できるかも不透明。少なくとも、ロシアの国旗の下では。

 潔白な選手は、五輪旗の下でなら、リオ五輪に出場できる。これを発表したのは、イギリス人のセバスチャン・コーIAAF会長。コー氏自身、アフガニスタンへのソ連軍派遣に反対する欧米諸国が1980年モスクワ夏季五輪をボイコットした時、この枠で出場している。

 

1.     エレーナ・イシンバエワ

 すべての選手が五輪旗の下で出場すべきかと迷っているわけではない。五輪で2個の金メダルを獲得し、28の世界記録を樹立している、女子棒高跳びのイシンバエワは、リオ五輪を目指し、出産後に現役復帰した。だが7月のロシア選手権が引退試合になるかもしれない。

 「ロシア代表以外の枠で五輪に出場するオプションを検討していない」と、イシンバエワは昨年12月にロシアNOWに話していた。以降、その姿勢は変わっていない。イシンバエワは最近、アメリカの新聞「ニューヨーク・タイムズ」に寄稿し、システムの不備と代表仲間の不正行為の責任を潔白の選手にも負わせるべきではないと主張した。

 

2.     セルゲイ・シュベンコフ

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 2015年世界陸上北京の男子110mハードルで、シュベンコフは圧勝した。ソ連時代も、現代ロシアになってからも、選手が国際大会でなかなか勝てなかった種目である。ロシア的には珍しい選手だが、キャリアのピークでこの問題に直面した。今シーズンは国際大会に出場することができない。今シーズンの国内大会では、今シーズンの世界のトップであるキューバのオーランド・オルテガ選手よりも速い、13秒24の記録を出している。

 シュベンコフはキャリアを始めたばかりのころ、自分の結果に責任を持つため、団体種目から抜けた。運命の皮肉か、選手生活の今後は他人によって決められる。

 

3.     マリヤ・クチナ

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 シュベンコフと同様、クチナも自分の種目、女子走り高跳びで世界のトップである。世界陸上北京ではクロアチアのブランカ・ブラシッチ、ロシアのアンナ・チチェロワなどのチャンピオンを追い抜いて、金メダルを手にした。リオ五輪では同様の活躍も期待できたはずだ。

 クチナは故郷のカバルダ・バルカル共和国プロフラドヌイ市に近い南部で練習を続けている。ロシアの陸上選手に対する管理はここ数ヶ月極めて厳しくなっているものの、クチナはドーピング違反の疑いをかけられたことはない。

 「世界反ドーピング機関(WADA)の人は1ヶ月に1回私のところへ来ている。練習場で練習していた時に来たこともあるし、家にいる時に来たこともある。朝6時に玄関のベルをならして、『WADAの者ですが、クチナさんのところに来ました』と。私は冷静に対応している。毎日でも大丈夫」と、本人はテレビ局「マッチTV」のインタビューで話している。

 

4.     ダリヤ・クリシナ

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 クリシナは女子走り幅跳びの選手で、国内だけでなく、海外でもよく知られている。ジュニア時代からロシアの最も才能のある陸上選手の一人と考えられていたクリシナのまわりには、いつもカメラマンがいる。競技においても、セレブのイベントにおいても。アメリカ系マネージメント会社「IMG」とも契約している。

 世界陸上北京では10位に沈んだ。今回の資格停止処分により、国際大会には出場できないため、国内大会への出場のみとなっており、本人は大会が足りないと訴えている。

 選手ひとりひとりを個別に扱うべきだと、本人は主張している。「全員を共通の分母に通分しているために、潔白の陸上選手まで引退を考えなくてはいけなくなってる。これは間違ってる。各選手が自分で大会の準備の仕方を決めている。誰かが一線を越えたからといって、評判の透明な選手全員が苦しむことはあってはならない」と、「スポーツ・ル」のインタビューで語った。