ブラッター会長辞任で露W杯は

EPA撮影

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先日再選したばかりのゼップ・ブラッター国際サッカー連盟(FIFA)会長が、汚職スキャンダルを背景に、辞意を表明した。予期せぬ発表に、ロシアのスポーツ関係者は驚きを隠せない。とはいえ、2018年FIFAワールドカップ・ロシア大会が、西側による開催権はく奪の要求に左右されることなく、予定通り行われる、との関係者の考えに変わりはない。

 ブラッター会長の辞意表明は、ロシアのスポーツ関係の役人に驚きをもって受け止められた。関係者は、汚職スキャンダルで会長に圧力がかかっていたことが、辞任の理由ではないかと考えている。同時に、ブラッター会長が支持していた、2018年ロシアW杯の開催が見直されるような理由はないと考えている。

 ロシア連邦スポーツ・観光・青年政策省のヴィタリー・ムトコ大臣は、「Rスポルト」紙の取材に対し、会長の「決断は男らしく、FIFAへの愛がある」と話した。同時に、「むろん、多くのサッカー連盟、サッカー関係者にとって、この決定は驚き」だと話し、チューリッヒで先週、FIFA会議が行われる前に、汚職スキャンダル関連でブラッター会長に圧力がかかっていたことが影響したのではないか、としている。

 

「一人の決定ではない」

 FIFA会議の数日前、FIFAの幹部が汚職の容疑で逮捕された。アメリカの連邦捜査局(FBI)と司法省は、ブラッター会長も捜査対象にしたと、2日に報じられた。

 イングランド・サッカー協会のグレッグ・ダイク会長は、ブラッター会長の辞意表明を受けて、2018年W杯と2022年W杯(カタールが開催国になっている)の開催国の問題が見直される可能性がある、と述べた。ムトコ・スポーツ相は「ロシア24」テレビの取材に対し、ロシアW杯の開催地を決定したのは一人ではなく、執行委員会、と説明し、「(ロシア開催に)いかなる脅威もない」と話した。

 同様の意見を述べたのは、ロシア・サッカー連盟の名誉会長で、FIFAおよびUEFAの元執行委員、ヴャチェスラフ・コロスコフ氏。「スポルト・エクスプレス」紙の取材に対し、「(ブラッター会長による辞意表明後の)今もなお、2018年W杯の開催権をロシアからはく奪し、別の国に与えるような理由は何もない」と述べた。

 

「パンドラの箱は開かれている」

 専門家も同様の意見で、ロシアでの開催見通しに直ちに脅威を与えるものではないと考えている。FIFAモスクワ事務所のヴァレリー・チュフリー元所長は、ロシアNOWの取材に対し、開催国決定は確かに、ブラッター会長の個人的決定ではなく、FIFA執行委員会の集団的決定だと話した。ロシアから開催権をはく奪する理由は今のところ、特に見当たらないという。

ブラッター氏の辞意表明

1998年からFIFAの会長を務め、5月29日に5期目の再選を果たしていたゼップ・ブラッター氏は、6月2日夜に記者会見を開き、予想外の辞意表明を行った。この決定は、自身の再選が「すべてのサッカー組織によって支持されていたわけではなかった」ことが理由だという。2015年12月から2016年3月までの間に行われる臨時会議で後任が決まるまで、現在のポストを続ける。

 一方で、捜査の途中でロシアに触れるような情報が出た場合、状況は複雑になる可能性があると、専門家は指摘する。ポータルサイト「スポーツ・ル」のドミトリー・ナヴォシャ社長によると、パンドラの箱はすでに開かれており、FIFAの汚職についてのニュースはこれからも続き、ロシアの話題が出る可能性もあるという。ただし、FIFA関係者の汚職の大きな証拠がでたとしても、FIFAによってすでに決定されたことが変わるとは限らないという。決定変更には深刻な潜在リスクがあるからだ。また、捜査を行っているアメリカの司法当局の声明には今のところ、ロシアはでてきていない。

 ブラッター会長はすぐに辞任するわけではなく、1年弱現ポストに残るし、開催国をロシアから別の国に変更することが決まった場合、その準備期間は極めて短くなってしまう、とチュフリー元所長は話す。