ロシア初の男子シンクロ選手

写真提供:マリツェフ選手

写真提供:マリツェフ選手

アレクサンドル・マリツェフは、ロシア・カザンで開催される「世界選手権」のシンクロナイズド・スイミング新種目「男女混合デュエット」に出場する、ロシア初の男子選手。女子の競技とされてきたシンクロに参加するのは、どのような気分なのか。ロシアNOWが聞いた。

第16回「世界水泳選手権」はロシア・カザンで7月24日から8月9日まで行われる。シンクロの競技期間は7月25日から8月1日までで、この新種目「男女混合デュエット」にロシア人男子として初めて出場するのが、マリツェフだ。

 

男子と一緒は恥ずかしい?

 シンクロ界で画期的変化が起こったのは昨年のこと。国際水泳連盟(FINA)は2014年11月29日、ドーハで臨時総会を行い、男女混合デュエットを世界水泳選手権の種目に加えることを決定した。

 この決定には賛否両論あった。2008年北京五輪と2012年ロンドン五輪で計3個の金メダルを獲得している女子シンクロのナタリヤ・イシチェンコはこう話す。「男子と一緒でどんな風に見えるのかを今から想像すると恥ずかしい」

 だがマリツェフは、このような懐疑的な見方をされても平気だ。「7歳の時、母が私をシンクロ学校に入れた。当時は男児でも女児でも入学できた。母はこの芸術種目が調和のとれた発達に役立つと考えていたが、それは正しかった」。こうマリツェフはロシアNOW記者に語った。

 才能豊かなマリツェフは努力家でもあり、すぐに結果を出した。10歳にしてサンクトペテルブルク代表チームに加わった。成功に胡坐をかくことなく、がんばり続けた。「小さい頃は特別な展望なんて持っていなかった。ほぼすべてのことをこなせたから、いつも完璧にしたいと思っていたし、大きな結果を出したかった。ある時、この種目はかけがえのないものだってことに気づいて、いつか公式大会に出場するっていう信念が生まれた。まわりには反対意見もあったけど、いつも応援してくれる人がいたことが支えになった」

 

シンクロに男子は自然

 この競技の男子は限られており、マリツェフは数人しか知らない。だがそれも過去の話になるだろう。男女混合デュエットが世界水泳選手権の公式種目になったことで、今後はもっとメジャーになっていくからだ。

 「ロシアではすでに、シンクロのグループへの男子招集が支持されている。シンクロに男子が出現するのは自然の成り行き。男女混合デュエットとは調和の実現。男子は間違いなく、女子の補完役になる。女子の優雅さ、軽やかさ、動きの流動性に、男子の男らしさ、情熱、典雅さ、たくましさが加わる。多くの女子にとって不可能な、複雑かつ力強い要素を男子は遂行することができる。リフトだって、高さがあるからより効果的に見せることができる」とマリツェフ。

 

デュエットの誕生

 マリツェフは大学2年生で、コーチングの専門職を学びたいと思っている。男子シンクロのパイオニアには、独自の創造的なアイデアがある。だが現在は、世界選手権に向けた準備で頭がいっぱいだ。デビューのパートナーはすでに見つけている。相手は2014年欧州選手権のチーム戦で優勝したダリナ・ヴァリトワ。

 ヴァリトワ・マリツェフ組みのガーナ・マクシモワ・コーチはこう話す。「とても素晴らしいペアだし、大きな未来があることを願っている。今の活動には満足。現在に集中しているけれど、今後どうなるか見守っていきたい」

 マリツェフはカザンの大会についてのコメントを控えている。だが、シンクロ大国と言われるロシアの代表ということを考えれば、優勝を目指していても何ら不思議ではない。 

シンクロの混 合デュエットの日本代表は

日本からは、安部篤史選手(32歳、トゥリトネス水泳部)と、足立夢(ゆみ)選手(26歳、シンクロクラブ)が、今年7月の世界水泳選手権(ロシア、カザン)の代表に内している安部選手は、メンズカップで2009年と2011年に世界一となった強豪。一方、足立選手は、2013年にいったん現役を退き、昨年6月から母校の国士舘大シンクロ 部の監督を務めていたが、男女混合デュエットが競技種目に採用されたのを受け、現役復帰を決心した。監督業もこれまで通り続けるとい う。ロシアのペアとの対決が今から楽しみだ。