キャリア延長にアイスショー貢献

「雪の王」はプルシェンコの初めての氷上プロジェクトではない。=Getty Images / Fotobank撮影

「雪の王」はプルシェンコの初めての氷上プロジェクトではない。=Getty Images / Fotobank撮影

フィギュアスケート男子シングルのスター選手、エフゲニー・プルシェンコが最近、豪華な氷上スペクタクル「雪の王」の公演を発表した。ロシアのフィギュアスケーターは、商業的なショーに参加しながら、キャリアを延長している。

「雪の王」

 腰に問題を抱えながらも、自身5度目の冬期五輪への出場意欲を見せているプルシェンコ。今はアンデルセンの童話「雪の女王」をモチーフにした、氷上スペクタクル「雪の王」の準備をしている。

 プルシェンコによると、国内外で類似したものはないという。高額で幻想的なショーの準備を行っているのは、220人のスタッフからなる大集団。プルシェンコは魔法を使い、氷上で8回転ジャンプをする。これはファンにとって気になるところ。詳しいことはまだわからないため、ショーまでのお楽しみだ。プルシェンコはショーにイリーナ・スルツカヤ、ジョニー・ウィアー、ブライアン・ジュベール、トマシュ・ベルネルを呼んでいる。

 「雪の王」はプルシェンコの初めての氷上プロジェクトではない。ただ前回のショーでは騒動があった。ソチ冬季五輪の個人戦を棄権したにもかかわらず、ロシア、ルーマニア、ラトビア、リトアニアでプルシェンコの「チャンピオンと友人のショー」の宣伝が続けられていたため、国内の民族主義者などが、税金で五輪の準備をしておきながら、自己ピーアールのために棄権し、商業的なショーには出演すると批判。ショーのボイコットが呼びかけられた。その後プルシェンコの公式ウェブサイトで、ショーの中止が伝えられた。

 プルシェンコは腰からのボルト摘出手術後、日本でショーに出演。ソチ五輪金メダリストの羽生結弦など、日本の選手に歓迎された。その後中国のショーで術後初となるトリプルアクセルを決め、インターネット上で話題になった。中国では靴の刃を壊し、すぐにそれをツイート。ファンは「鋼を壊すほど強くて全能なんだ」と返信した。

 

「黒鳥」

 プルシェンコはきっと、海外でも「雪の王」を披露したいと思うだろう。だがロシアのフィギュアスケーターは、従来型のショーでも十分満足している。

アデリナ・ソトニコワ=AP通信

 ソチ五輪個人戦女子シングル金メダリストのアデリナ・ソトニコワは今春、3度の世界チャンピオンである浅田真央のショーに出演。ノリの良い「カム・トゥゲザー」と、かつてソトニコワのプログラムだった「黒鳥」の、2つの演目をピョートル・チェルヌショフと用意した。

 「2009年に日本のショーで『白鳥の湖』を滑ったら、会場がスタンディングオベーションしてくれたの。もう一度滑れることが嬉しい。今回改めて感じたのは、日本でフィギュアスケートが大人気だってこと。私たちには特別にボディーガードがついた。分単位のスケジュールだったから、十分散歩できなかったのが残念。その代わりに見る人を喜ばせることはできたと思う。Tシャツ、香水、地元のスイーツとか、いろいろなものをプレゼントしてもらった。あと、主催者が参加者全員へのプレゼントとして、名古屋の遊園地に連れて行ってくれた。みんな大喜びだった」とソトニコワ。

 

「氷河期」


ロシアで人気の高いTVアイス・ショーの「氷河期」=アレクセイ・フィリーポフ撮影/ロシア通信

 ロシアでアイスショーの一番のベテランと言えば、2002年ソルトレイクシティ冬季五輪アイスダンスの銀メダリスト、イリヤ・アベルブフ。アベルブフは「氷上のスター」、「氷河期」、「氷と炎」、「ボレロ」などの、ロシアで人気の高いTVアイス・ショーの演出家、プロデューサーを務めている。またソチ冬季五輪とロンドン夏季五輪のイベントの一環、氷上ミュージカル「街の灯」も演出。タチヤナ・ナフカとロマン・コストマロフ、タチヤナ・トチミャニナとマクシム・マリニン、アレクセイ・ヤグディンなどのロシアのチャンピオンが出演した。

 アベルブフは特に海外公演を行っていないが、ロシアのプロジェクトと外国のプロジェクトには、双方に学べる点があるという。「ショーに参加するのは、世界チャンピオン、五輪メダリストなどのレベルの高いフィギュアスケーター、氷上アクロバットのチャンピオンなど。質に重きを置き、ヨーロッパ・レベルを目指している。ロシア人はスケートはうまいけど、光、花火、特殊効果、装飾、衣装などを工夫して、派手な演出のショーをできるようにならないと」

 

ボリショイ劇場


ウラジーミル・フェドレンコ撮影/ロシア通信

 アベルブフの夢は氷上劇場。ソ連のフィギュアスケート男子シングル元選手でヨーロッパ・チャンピオンのイゴール・ボブリン率いる「氷上短編劇場」は、すでに28年も活動を続けており、日本、イタリア、フランス、ベネズエラ、アメリカなどでも公演している。韓国の公演は特に大成功し、「ボリショイ・オン・アイス」と呼ばれた。今夏釜山、大邱、ソウルでは、スペクタクル「シンデレラ」、「白鳥の湖」、「メアリー・ポピンズ」を披露した。

 「氷上短編劇場」のソリストであるナタリア・ベステミアノワはこう話す。「私たちにとって劇場はライフスタイルになっているみたい。これなしで生きていくことはできない。もちろん、収入源でもあるけれど、精神的、肉体的な注力はお金には代えられないほど。自分の人生を劇場にかけてると言える」