リプニツカヤとコフトゥンが成長

Getty Images / Fotobank撮影

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フィギュアスケートのロシア代表は、銀メダル2個を日本のおみやげとした。

 埼玉で行われていた「ISU世界フィギュアスケート選手権大会2014」が30日に閉幕した。シングルの羽生結弦と浅田真央が地元の熱い声援を受けて、見事優勝。町田樹も銀メダルを手にした。

 

リプニツカヤが活躍

 国別メダル獲得数で、ロシアは日本、イタリア、ドイツに続く第4位だった。銀メダルを獲得したのは女子シングルのユリヤ・リプニツカヤと、ペアのクセニヤ・ストルボワとフョードル・クリモフ組。

昨年の金メダリストであるカナダのパトリック・チャン、韓国の金妍兒(キム・ヨナ)、ロシアのタチアナ・ボロソジャルとマキシム・トラニコフ組、アメリカのメリル・デイヴィスとチャーリー・ホワイト組は、2014年世界選手権を欠場。新人が目立った。

 今回ロシア代表入りした多くの選手にとって、これが初めての世界選手権だったことは興味深い。デビューしたのは女子シングルのアンナ・ポゴリラヤ、ペアのユリヤ・アンチポワとノダリ・マイスラゼ組、アイスダンスのヴィクトリヤ・シニツィナとルスラン・ジガンシン組。

 銀メダリストとなったリプニツカヤは結果についてこう話した。「点差は見ての通りで、日本の世界選手権で浅田真央に勝つのは無理だった。私がサルコーをきれいに決めていたとしても、差はでたはず。今シーズンは五輪(団体戦)で優勝して、欧州選手権で優勝して、まだ実感はわかないけれど世界選手権で銀も取れて、最高だった。自分の名声について考えたことはなくて、五輪で勝つことだけを課題にしてきた。人に注目されるのは疲れるし、特に機嫌の悪い時はどうやって笑顔を見せたらいいかわからないこともあるけど、ようやく慣れてきた。日本ではしっかり整理されてたし、警備員が道をあけてくれたから楽だった。ソチの『アイスベルク』を出た時は大群衆を見て、逃げられないと思ったから」。

 

精神的にも進歩したコフトゥン

 今大会の成果となったのは、ロシア代表の出場枠の拡大。次の世界選手権には、アイスダンス3組、ペア3組、女子シングル3人と、最大の構成でのぞむことができる。男子シングルもこれまでの1人から2人に増えたが、これに貢献したのがマクシム・コフトゥンだ。

 五輪出場をめぐる騒動によって、コフトゥンは大いに注目された。ロシア・スケート連盟がソチ五輪の男子シングルの1人枠に、才能あふれる若きコフトゥンではなく、ケガから復帰したばかりのエフゲニー・プルシェンコを出場させたことから、疑問の声があがっていた。プルシェンコは結局個人戦を棄権。体調万全ではない選手を出場させたことに批判が集中し、さらに当事者やスケート関係者がさまざまなコメントを行ったことから、問題は大きく波紋を広げた。多くの専門家や視聴者は、今大会のコフトゥンの演技を細かく観察。ショートを7位で終えたものの、フリーで理想的な滑りを見せ、最終的に4位に浮上した。昨年の世界選手権では17位だったから、これは大きな進歩だ。

 コフトゥンはこう話した。「滑りが進歩したとコーチに言われた。振り付け師のピョートル・チェルヌショフは点数や記録ではなく、シーズン始めにプログラムの滑りだしで失敗した時は全体が台無しになっていたと言っていた。今は演技中にミスを分析して修正することを覚えた」。

 

ペアは銀、アイスダンスは残念な結果

 ペアのクセニヤ・ストルボワとフョードル・クリモフ組は、世界選手権で5度優勝しているドイツのアリオナ・サフチェンコとロビン・ゾルコーヴィ組に及ばず、銀メダルで終わった。ソチ五輪ではサフチェンコ・ゾルコーヴィ組を上回っていたものの、今回は経験豊かな方に軍配があがった。

 アイスダンスでは、ソチの銅メダリストであるエレーナ・イリイヌィフとニキータ・カツァラポフ組がメダル候補だったが、ショートの大きなミスが響き、フリーで他を圧倒したものの、メダルを取ることはできなかった(4位)。

 

運営に難あり

 ロシア・フィギュア・スケート連盟のヴァレンチン・ピセエフ会長は、日本の運営の質に苦言を呈した。「ホテル-会場の移動時間が長かった。街の中は大渋滞で、ホテルに戻るだけで片道2時間かかった。このため、選手は時にアリーナで宿泊しなければならなかったが、運営側は休憩室にベッドをいくつか置いていた。ベッドが役に立つことが最初からわかっていたのではないか。このような条件で試合の準備をするのは難しいし、結果にも影響があった」。

 今大会の運営と練習・大会スケジュールには問題があり、アイスダンスのシニツィナはさいたまスーパーアリーナの休憩室のベッドが足りなかったことから、ソファで寝たという。

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