さらに新しくなるパラリンピック

ロシアのパラリンピックの選手は、2014年ソチ冬季五輪パラリンピック大会で、初めて全競技に参加する=ミハイル・モクルシン/ロシア通信撮影

ロシアのパラリンピックの選手は、2014年ソチ冬季五輪パラリンピック大会で、初めて全競技に参加する=ミハイル・モクルシン/ロシア通信撮影

ロシアのパラリンピックの選手は、2014年ソチ冬季五輪パラリンピック大会で、初めて全競技に参加する。選手やパラリンピックの関係者は、社会でこの大会の重要性を認識されるようになって、初めて成功できると考えている。

 多くのパラリンピックの選手にとって、ソチは初舞台となる。例えば、新種目として、スノーボードクロスが加わる。この種目の関係者は、8年にわたり、パ ラリンピックへの出場権を求めてきた。今回はアルペンスキーの種目だが、4年後の2018年平昌冬季五輪では、クロスカントリー、バイアスロン、アイスス レッジホッケー、車椅子カーリング、アルペンスキーと並ぶ、独立した競技になる。このほかに、ロシアは自国代表がすでに世界選手権での優勝を遂げている、 スタンディングアイスホッケーをプログラムに加えることも望んでいる。ロシア・パラリンピック委員会(RPC)は、目が不自由な人のためのスピードスケー トへの関心も高めようとしている。

 

今大会のロシア代表

 このような計画の実現は、まだまだ先だ。さて、ソチではロシア代表を何が待ち受けているのだろう。前回の2010年バンクーバー冬季五輪パラリンピック 大会で、ロシアは金メダル12個、銀メダル16個、銅メダル10個の合計38個を獲得して、世界第2位だった。第1位は1個多い、13個の金メダルを獲得 したドイツ。総獲得数では、ロシアはダントツだった。

激しい競争

 ロシアのパラリンピック代表の競争率は高く、64人分の出場権に対して105~110人が争っている。

 ロシアのバイアスロンやクロスカントリーのスター選手、すなわちパラリンピックで金メダルを4個獲得しているイレク・ザリポフとキリル・ミハイロフ、 銀、銅各1個のロマン・ペトゥシュコフ、金2個のマリヤ・イオヴレワ、金3個のアンナ・ミレニナ、金1個のニコライ・ポルヒン、金1個のミハリナ・ルィソ ワは、自国開催のパラリンピックに出場する。またパラリンピックのチャンピオンであるインガ・メドヴェジェワとアレクサンドラ・フランツェワ、 2011~2012年シーズンのワールドカップで優勝したワレリー・レトコズボフといった、アルペンスキーの選手にもメダル獲得の期待がかかっている。

 パーヴェル・ロシュコフRPC第1副委員長は、ロシア代表は強豪チームだと自負していると言う。「ロシアはソチで初めて全競技に出場する。過去のパラリンピックでは、 車椅子カーリングで出場権を得られなかった。今回カーリングで出場できるのは、開催国だからではなく、選手が2012年、世界チャンピオンになったから。 昨年は5位。アイススレッジホッケーについては、まだ始めたばかりだが、世界選手権で3位になり、パラリンピックへの出場権を手に入れた。期待が高いの は、クロスカントリー、バイアスロン、アルペンスキー。これらの競技のおかげで、トリノとバンクーバーで活躍することができた」

 

ファンの支えが一番

チケットのお値段

 パラリンピック大会のもっとも安いチケットは350ルーブル(約1050円)、もっとも高いチケットは1500ルーブル(約4500円)。主要なチケッ トは500ルーブル(約1500円)で購入することができる。開会式のチケットの価格は700~5000ルーブル(約2100~1万5000円)、閉会式 のチケットの価格は400~2000ルーブル(約1200~6000円)。ロシア・パラリンピック委員会(RPC)の広報部によると、人気の高いチケット は開会式と閉会式(販売済みチケットの30%)、アイススレッジホッケーとアルペンスキー(それぞれ販売済みチケットの24%と20%)。

 パラリンピックの興奮はオリンピックと変わらない。パラリンピックの選手が見せる精神力、たくましさ、克服を目の当たりにすると、強い尊敬の念がわきあ がり、大きく感動する。そしてたくさんの観客が応援することは、選手の力になる。パラリンピックで6度優勝し、今年のパラリンピックで大使を務めるセルゲ イ・シロフはこう話す。「ファンの力強い応援は、長く厳しい練習と同じぐらい選手を後押しする。ロシア代表が全力で戦い、観客がロシアを誇りに思うだろうと確信している」

 それでも、2012年ロンドン夏季五輪パラリンピック大会ほどの盛り上がりは、簡単には期待できない。ミハイル・テレンチエフRPC事務局長はこう話 す。「ロンドン・パラリンピックほどのマスメディアと観客の関心を、ソチに期待するのは難しい。メディアへの露出という点で、イギリスは大成功を遂げた。 このレベルをソチも目指すべきだが、実現は容易ではない。数百万人が見るようなことにはならないだろう。このイベントの重要性を一般に認めても らうことが必要。RPCは重要性を示すために、多くのプロジェクトを立ちあげた。努力すれば社会の考え方が変わり、より多くの人がパラリンピックを祭典で はなく、スポーツと理解するようになるだろう」

 

ソチはみんなの街

 ソチはパラリンピックの選手だけのものとはならない。ソチの行政は、体の不自由な人にとって便利な街となるよう、大規模なプロジェクトを実施した。公 園、駅、ホテル、商業施設には視覚障がい者のための表示が設置され、車椅子を運ぶことのできる特別なバスも導入された。100人以上のバスの運転手が、こ のような乗客を支援するための特別な講習を受講した。スロープ、視覚障がい者誘導用ブロック、特別なリフトがソチの学校に設置されたことから、家庭で勉強 している一部の子どもたちが、学校に通えるようになった。バリアフリーの街になりつつある。

 パラリンピックがバリアを壊し得ると話すのは、パラリンピック代表と面会した、伝説的なアイスホッケーの元選手であるウラディスラフ・トレチャク。「彼 らは普通の人と同じ生活を送ろうと努力している。スポーツが彼らに根性と勝利の喜びを与え、彼らは世界中を旅できる。パラリンピック大会は政府を刺激し、 彼らが何を必要としているのかについての理解と認識につながった。そしてこのような認識は、国中に広まりつつある」。